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(17日、高校野球 金足農5―4横浜)

 金足農(秋田)は17日の3回戦で横浜(南神奈川)と対戦し、劇的な逆転本塁打で試合をひっくり返した。強豪相手に堂々としたプレーを見せ、甲子園でおなじみとなりつつある「全力校歌」で締めくくった。

 あいさつや試合中の声かけなど、あらゆる場面で「全力の声」がチームの伝統だ。練習時のシートノックの前には正座をして右腕を上げ、絶叫して緊張をほぐす。一昨年の秋からは試合に勝った時の校歌も、体を反って全力で歌い上げるようになった。

 春夏通算で計7回、甲子園に導いた元監督の嶋崎久美さん(70)が伝統を築いた。「1点差の場面では、声や『基本』が勝負を分ける」と嶋崎さん。中泉一豊監督(45)も嶋崎さんの教え子の一人で、現役時は、グラウンドから約50メートル離れた嶋崎さんのいる事務室まで声を届かせるよう、先輩に教えられた。

 中泉監督も「声は勝負につながる」と言い、方針に掲げるのは「声は技術」。励ましに加え、局面局面で次のプレーにつながる声かけを練習時から徹底させている。

 「全力の声」を先頭に立って示すのは、一塁手の高橋佑輔君(3年)。昨夏までは声が小さかったが、新チーム発足時、先輩の相場蒼太朗さん(18)に「声で引っ張っていける存在になれ」と言われた。控え選手ながら、誰よりも声を出していた相場さんの言葉に、責任感を覚えた。

 今ではチーム一の大声で内野陣を引っ張る。この日の横浜戦、八回裏1死一、二塁の好機で、高橋君は気合を入れて打席に入った。初球を振り抜くと、打球はぐんぐん伸びてバックスクリーンへ。雄たけびを上げてダイヤモンドを回った。

 代々、受け継がれてきた「全力の声」。体を反らし、腹の底から声を出し、この夏3度目となる勝利の校歌を歌いきった。(神野勇人)