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 群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が同県中之条町の山林に墜落して乗員9人全員が死亡した事故で、県は唯一の防災ヘリを失った。防災ヘリは、火災や遭難救助など多岐にわたって活用される。当面は他県へ応援を要請し、新たな機体の購入や民間ヘリのチャーターも検討している。

 県消防保安課などによると、「はるな」は米ベル社製で全長17・1メートル、定員は15人。県防災航空隊が発足した1997年の5月に就航した。運航回数は2017年度、403回。群馬県の北西部は山岳地帯で、尾瀬や谷川岳、妙義山などハイカーらに人気の山も多い。山岳遭難者の救助や林野火災の消火、救急搬送などの緊急運航が190回で、ほかに防災訓練などで出動した。救急搬送では医師や医療機器を載せ、ドクターヘリのような医療活動も可能だった。

 事故を受け、県は必要に応じて、事故や災害時の相互応援協定を結んでいる栃木、茨城、長野、新潟など近隣7県に出動を要請してしのぐ方針。墜落翌日の11日には、山岳地帯でのけが人救出のため、埼玉県の防災ヘリが出動した。だが、他県からの出動は距離がのびる分、活動開始に時間がかかる。拠点となる群馬ヘリポート(前橋市)までの飛行時間は、埼玉県から15分程度、長野県の松本空港からは30~40分程度かかるという。

 20年に予定していたヘリの買い替えの前倒しも検討しているが、選定はこれから。新たな機体の購入には20億~30億円程度の予算が必要で、めどは立たない。昨年3月に防災ヘリが墜落した長野県は民間からのリース機で対処しており、群馬県でも同様の手立てを選択肢に入れる。

 県内には、県警が所有するヘリ1機と、前橋赤十字病院が運用するドクターヘリ2機があるが、消火活動は防災ヘリにしかできない。県の担当者は「他のヘリでどの程度、代わりが務められるかわからない。(他県に応援要請をするので)これまでのようなドクターヘリ的な運用は少なくならざるを得ない」と話す。(篠原あゆみ)