73回目の終戦の日となった15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれた。全国から約5500人の遺族が集まり、約310万人に上る戦没者を悼む。天皇陛下は来年4月末に退位を控えており、平成最後の追悼式となる。

 式典は正午前に始まった。安倍晋三首相は式辞で「戦争の惨禍を、二度と繰り返さない」と述べ、戦後70年だった2015年から4年続けて同様の表現を使い、不戦の決意を表明した。

 1993年の細川護熙氏以降、歴代首相は式辞でアジア諸国への加害責任に触れ、「深い反省」や「哀悼の意」などを表明してきたが、安倍首相は第2次政権発足後、6年連続で加害責任に言及しなかった。

 正午から参列者全員で黙禱(もくとう)した後、天皇陛下が「おことば」を述べた。おことばでは「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」という表現を盛り込み、「戦争の惨禍が再び繰り返されぬこと」を切に願うとした。

 全国の遺族を代表し、追悼の辞を述べるのは宮城県石巻市の鈴木喜美男さん(75)。父親の喜代治(きよじ)さんが北マリアナ諸島のテニアン島で戦死した。参列する遺族の最高齢は東京都練馬区の芹ケ野(せりがの)春海さん(102)で、最年少は2歳。

 参列する遺族は平成の30年間で世代交代が進んだ。平成元年(1989年)の参列予定遺族は、戦没者の妻が3269人で48%と最多、次いできょうだいが2251人で33%だった。

 今回は参列予定者5455人のうち、妻は13人で0・2%、きょうだいは361人で7%。最多は子の2864人で53%を占める。孫、ひ孫があわせて598人で11%と、初めて10%を超えた。(佐藤啓介)

安倍首相の式辞全文

 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表、多数のご列席を得て、全国戦没者追悼式をここに挙行いたします。

 苛烈(かれつ)を極めた先の大戦において、祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に斃(たお)れた御霊(みたま)、戦禍に遭い、あるいは戦後、遠い異郷の地で亡くなった御霊、いまその御前にあって、御霊安かれと心よりお祈り申し上げます。

 今日の平和と繁栄が、戦没者の皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであることを私たちは片時たりとも忘れません。改めて衷心より敬意と感謝の念を捧げます。

 未(いま)だ帰還を果たしていない多くのご遺骨のことも脳裡(のうり)から離れることはありません。一日も早くふるさとに戻られるよう全力を尽くしてまいります。

 戦後、我が国は平和を重んじる国として、ただ、ひたすらに歩んでまいりました。世界をより良い場とするため、力を尽くしてまいりました。

 戦争の惨禍を二度と繰り返さない。歴史と謙虚に向き合い、どのような世にあっても、この決然たる誓いを貫いてまいります。争いの温床となる様々な課題に真摯(しんし)に取り組み、万人が心豊かに暮らせる世の中を実現する、そのことに不断の努力を重ねてまいります。今を生きる世代、明日を生きる世代のために、国の未来を切り拓(ひら)いてまいります。

 終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様にはご多幸を心よりお祈りし、式辞といたします。