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 史上初となる2度目の春夏連覇に挑む北大阪代表・大阪桐蔭は13日の2回戦を突破し、16強入りを決めた。かつてPL学園を率いて春夏連覇を果たした中村順司・名商大総監督(72)の目に、その戦いぶりはどう映ったのだろうか。

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 大阪桐蔭は試合前のシートノックで、すでに相手を圧倒したね。このスピード感、1歩目の速さ。ノッカーがボールを上げた瞬間、もっと言えば投手が投げた瞬間から動く準備ができているんだな。野手というのは待つと不安になるもの。自分から動くといいんだ。

 1歩目がいいと、流れがよくなる。まるで足で投げているかのような守備になるんだ。PL学園の監督をやめた後、かつて対戦した監督から「PLの試合前ノックを選手に見せなかった」と打ち明けられたことがある。大阪桐蔭のノックもそんな感じだよね。

 だけど、沖学園も粘り強く戦った。先発した石橋幹(かん)君は身長186センチ。ボールに角度があるから、大阪桐蔭の打者も差し込まれている。ぼくなら①タイミングを1テンポ速くする②バットを一握り短く持つ③両脇をいつも以上に締める、のどれかをしなさいと指示をするな。西谷浩一監督も何か助言をしているでしょう。2巡目に入ったら、やっぱり対応し始めたね。

 一気に4点勝ち越した六回は、西谷監督がエンドランをかけて選手を動かしたね。各選手がちゃんと走っている。凡打でも一塁まで全力疾走している。その差が少しずつ出てくるんだ。

 根尾昂(あきら)君の本塁打は完璧だな。藤原恭大(きょうた)君は右肩がちゃんと残っているから流しても打球が伸びる。本塁打を打っても淡々と走っているのもいいね。清原和博(PL学園―巨人など)もそうだった。そういう姿勢だから、相手も敬意を払ってくれる。全力疾走もそうだよ。注目されてもおごらず、範を示そうというようなプレーぶりも、強さの秘密なんじゃないかな。

 ぼくはPL学園で「高校は通過点。大学や社会人、プロで野球を続けるのならキャッチボールができないとな」と選手にいつも話した。大阪桐蔭の選手も目的意識が高い。イメージ的に重なるところはある。

 高校野球は何が起こるか分からないけど、春夏連覇に向けて、不安材料は見当たらないな。

 近大付(南大阪)の敗退は残念だった。ぼくがPL学園にいたころはライバルでね。豊田義夫監督(当時)の速射砲ノックが印象に残っている。今年も投手の大石晨慈(しんじ)君を中心に守りの堅いチームだった。強豪復活のきっかけにしてほしいね。(構成 編集委員・安藤嘉浩

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 なかむら・じゅんじ 名商大総監督。PL学園の2年春に甲子園出場。母校を率いて春夏連覇を含む甲子園優勝6度(春3、夏3)は大阪桐蔭の西谷浩一監督とともに歴代最多。通算58勝は歴代2位。

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