聞き手・加藤勇介
日本の性的文化について考察した書籍が今年3月、相次いで自治体から「有害図書」に指定された。「エロマンガ表現史」と「全国版あの日のエロ本自販機探訪記」の2冊で、18歳未満への販売が禁じられるほか、図書館などでも取り扱われにくくなることから、研究書まで有害指定するのは行き過ぎだとの批判が起きている。著者はそれぞれ、どんな思いを本に込めたのか。有害指定されたことについての受け止めとともに聞いた。
漫画についての研究は数多いのに、エロ漫画においては先行研究がほとんどありませんでした。エロの世界でも作り手は様々な表現を試みてきた。模倣や改良が繰り返され、漫画的な記号として定着してきた歴史があります。エロだからというだけの理由で、創作の歴史をないことにするのはおかしい。そんな思いもあり、この本を書きました。
苦労したのは、普通の漫画ならそろっているアーカイブやデータがほとんどないことです。自分が所持していたものに加え、古本屋を巡ってネットオークションも活用しました。知人に片っ端から昔の雑誌がないかと声をかけていると、そのうち出版社にも伝わって廃棄処分になる雑誌を入手できたこともあります。
漫画のエロ表現には社会が如実に映し出されています。例えば、エロ漫画では2000年以降、女性が自ら女性器を広げる表現として「くぱぁ」という擬態語が多用されるようになりました。セックスの場面はかつて男性上位で描かれたのが、女性上位のシチュエーションが増えたためです。社会の意識変化の表れと捉えられます。一般向けの漫画も同様です。お色気場面がある少年誌では、昔は「ハレンチ学園」や「まいっちんぐマチコ先生」で男性が女性に対して、いたずら目的のセクハラ行為が目立ちました。最近の「To LOVEる」や携帯漫画では、積極的な女性に対して戸惑う男性が多く描かれています。
体系的に調べると性交の場面の…
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