音楽評論家・萩原健太さんの話

 アレサは1960年代半ばの公民権運動の頃に、黒人女性歌手としてルーツであるゴスペルの色合いを打ち出し、スターダムにあがった。

 代表曲の一つでキャロル・キングが作った「ナチュラル・ウーマン」は、女性の生き方を描いた作品だ。人種や女性の問題が再燃している今、象徴的な存在であるアレサが失われたことに大きな壁を感じざるをえない。

 僕は2014年にニューヨークで彼女のステージを見たが、多くのヒット曲があるにもかかわらず、ジェームス・ブラウン、ホイットニー・ヒューストンらすでに亡くなった黒人歌手の曲を歌っていった。米国のソウルミュージックを全て背負っていくという心意気が見える感動的なステージだった。