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 東京・九段の靖国神社では15日、午前6時の開門前から喪服を着た参拝者ら数百人が列をなした。日差しが照りつける中、家族連れらの列は絶えず続いた。

 東京都品川区の夏井一江さん(77)の父親はビルマ(現ミャンマー)で戦死した。遺骨も無く、手元にある父の写真は1枚だけ。祖父は、よく夏井さんに「息子に会いに靖国に行きたい」と話していたが、願いはかなわず亡くなった。

 夏井さんは東京に引っ越した30年ほど前から、祖父の代わりに毎年のように参拝している。靖国神社は、記憶のない父親を感じられる場所だ。

 「ここまで大きくなりました」。今年も手をあわせ同じ言葉をつぶやいた。

 足立区の前田秀久さん(68)は、両親の写真を持って参拝した。父親の国一(くにいち)さんは、東南アジアのボルネオ島で終戦を迎えた。「全滅状態で、多くの戦友を亡くした」といつも秀久さんに語り、毎年靖国神社に参拝していたという。

 15年ほど前に国一さんが亡くなってから、代わりに毎年参拝するようになった。「両親が生きのびてくれて今の自分がいる。感謝の気持ちで一緒に参拝しました」と話していた。(山本知佳、国吉美香)