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 大会第12日の16日、高岡商は兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった3回戦で大阪桐蔭(北大阪)と対戦し、1―3で敗れた。1947年以来、71年ぶりの夏の甲子園での8強入りはならなかったが、春夏連覇を狙う強豪に惜敗した選手たちに、球場全体から大きな拍手が送られた。

山田龍聖投手

 「投げたくない」と弱気になっていたことがうそのように、エースは甲子園のマウンドで躍動した。

 182センチの長身から繰り出す、140キロを超すスピードと威力のある直球が特長の高岡商の山田龍聖投手(3年)。昨夏は富山大会決勝で完投し、チームを勝利に導いた。甲子園で敗退後、新チームで投手陣の中心になると思われていた。

 しかし、昨秋の県大会で渡された背番号は「1」ではなかった。「器じゃないのかな」と思った。

 冬を越え、春になっても調子が上がらない。球速は落ち、制球は乱れた。背番号「1」を手にして臨んだ今夏の富山大会も2試合で11失点。「投げたくない」と弱気になり、「何をすればいいのか」と悩んだ。

 そんな時、高岡商OBで元プロ野球千葉ロッテの投手の干場(ほしば)崇永さん(46)が「ゼロからやろう」と声をかけてくれた。

 速球を期待されてプロ入りしたものの、思うような活躍はできず、周囲からの助言も生かせなかったという干場さん。悩む山田投手がかつての自分のように見えたという。

 干場さんは「踏み出す足は投げる方にまっすぐ」など投球の基礎から指導。山田投手は「球は捕手のミット付近にいけばいい」と細かくは考えず、アドバイス通りに投げることにした。すると、球のキレが増し、球速が出なくても空振りが取れるようになった。

 迎えた甲子園。1回戦は7回を投げて1失点。2回戦は4点を失ったが完投。いずれも要所を締める投球で、勝利をもたらした。

 8強入りをかけたこの日も、二回から三回にかけて4者連続三振を奪うなど、大阪桐蔭打線に臆することなく、攻めの投球を見せた。試合には敗れたが吉田真監督は「ベストピッチ」と絶賛。中村昂央(こうよう)主将(3年)も「守っていて楽しかった。彼の力は本当に大きい」とたたえた。

 「勝てなくて悔しい」と山田投手。「でも、戻って来た場所で2勝し、成長できた」と大きな自信をつかんで、富山に戻る。(高億翔)