拡大する写真・図版 2016年6月、パリで食事する正男氏=関係者提供

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 金正男(キム・ジョンナム)氏が病床の「恩人」について周囲に語るようになったのは、2016年春、暗殺事件が起きる1年前のことだった。正男氏にとって「育ての親」とも言える叔母は、夫の張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が2013年に処刑された後、パリに逃れ、病に伏せていた。そんな恩人の闘病生活を支えていたのが、正男氏だった。病院で手術のための手続きをしたり、ベッドに寄り添って思い出話をしたり。日本からのお土産を病室に届けることもあったという。

 正男氏と欧州をつなぐ線はもう一つあった。海外の親族の多くは、北朝鮮で粛清の波にもまれ、故郷を追われた人たちだ。隠し口座の資産を取り崩したり、外国機関に頼ったり、息を殺して暮らしてきた。隠し口座を持てる国や、滞在を許してくれる国は、世界でそれほど多くない。北朝鮮当局の目が届きにくい欧州は、正男氏や親族の生命線になっていた可能性があった。

 事件までの1年間、ほとんどの時間を欧州で過ごした正男氏。第一章では、その間の近親者や友人との秘められたエピソードや、わずかにのぞかせた「海外ビジネス」の実態に迫った。

■カメラがとらえた白昼の…

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