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 ネットの進化は、言論の世界も大きく変えた。ウェブ上を連日、膨大な「論」が流れ、時に激しい敵意も飛び交う。転換期の言論空間は、どうあるべきか。精神科医の香山リカさんに聞いた。

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 いくつかのウェブメディアで連載を持っている私だが、いちばん力を入れているのはSNSのツイッターにコメントをくれた人たちとのやり取りだ。もちろんすべてに目を通すことはできないが、特に「匿名」での「賛意ではなく批判(罵倒や誹謗(ひぼう)中傷もある)」に応じるように心がけている。そういう人たちと直接、やり取りできることこそ、SNSの最大の醍醐味(だいごみ)だと思うからだ。調査目的でそうしているわけではないが、連日、そんな対話を続けていて気づいたことがある。

 まず、SNSでは理屈やデータよりも「1枚の写真」、つまり視覚的イメージが説得力を持つことだ。たとえば先日は「沖縄・辺野古での米軍新基地建設への抗議活動をする人の大半は国外・県外の活動家」と主張する人たちとやり取りしたのだが、彼らは繰り返し県外の労働組合の幟旗(のぼりばた)やハングルの横断幕が写った集会の写真を送ってきた。「時にはそうしたことがあったとしても、日常的に座り込みをしている人の多くは沖縄県民」と資料のリンクなどを添えて返答しても、「写真が何よりの証拠」とゆずらない。

 また、そうやって資料を示すことが、論拠の提示ではなく「ひとの意見に頼ろうとしている」と否定的にとられることが多い。「この分野では権威の学者の論文だから」という説明が、「そんな人は知らない」「どうせサヨクの仲間だろう」と反発を買うことも多い。“知の集積”がいとも簡単に否定され、「ズバリ自分の主張を述べる人」が評価されるのだ。

 「史実」の意味も決定的に変わ…

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