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 金足農(秋田)は17日の3回戦、八回裏の本塁打で逆転し、3度目の優勝を狙う横浜(南神奈川)を5―4で下した。今大会では公立校と東北勢で唯一の8強入りとなった。

 1点リードで迎えた九回表、エース吉田輝星(こうせい)君(3年)は145キロ、148キロ、150キロと立て続けに直球を投げ込んだ。捕手の菊地亮太君(3年)は「ギアがマックスまで上がっていた」。3人とも空振り三振に打ち取り、3試合連続の完投勝ちを決めた。

 「大会期間で成長する」。吉田君は甲子園入りし、宿舎のホワイトボードに目標を記した。1回戦は直球主体、2回戦は変化球を軸に切り替え、投球の幅を広げた。勝つたびに注目度は上がるが、「見られることは全員のレベルアップのチャンス」と前向きだ。

 この日、吉田君は直球と変化球を織り交ぜ、際どいコースを突き続けた。強打の横浜打線に12安打を浴びながらも、14奪三振の熱投。菊地君は「打者が狙い球を変えても吉田は対応できた。甲子園に来てから修正能力が上がっている」とエースの成長を実感する。

 背番号1の奮闘にチームメートも応えた。

 2点を追う八回裏、1死一、二塁で、6番の高橋佑輔君(3年)に打席が回ってきた。前の打者は送りバント失敗。「吉田に全部任せてたらだめだ」。初球を振り抜くと打球はバックスクリーンに飛び込んだ。今夏の甲子園でチーム3本目の本塁打は逆転弾。金足農は秋田大会5試合で本塁打0本だったが、エースの成長に呼応するかのようにチーム全体でこの夏、力をつけている。

 体を反らして全力で歌う勝利の校歌も3度目。あと1勝で34年前の最高成績に並ぶ。準決勝で「KKコンビ」擁するPL学園(大阪)に惜敗した年だ。

 今夏は秋田大会から一度も選手交代せず、地元出身の3年生9人で戦い続けている金足農。「自由自在な投球を心がけたい」。吉田君は試合後、上気した表情で話した。(神野勇人、野城千穂)