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 行政が行方を把握できぬまま、貴重な美術工芸品が散逸している。国や都道府県による指定文化財だけで所在不明は298件。多くは自治体が所有者と連絡を取らず、相続や売買などの情報を追いかけていなかったことが背景にある。

 県指定文化財の全件調査を2015年度に始めたが、今も終わらないと取材に答えた秋田県。市町村に依頼しているが、回答が得られたのは約260件の半数にとどまる。それですら書類の不備が次々見つかり、担当者は「作業が追いつかず、未回答分まで手が回らない」と話す。

 未回答の文化財について、記者が県の目録にある住所と所有者を訪ねた。

 JR秋田駅から約2キロ、県庁や秋田市役所に近い中心街の一軒家。目録通りなら、62年前に県の文化財に指定された「道三作 上絵五彩水注(どうさんさく うわえごさいすいちゅう)」を、当時と同じ男性が変わらずに所有しているはずだった。

 訪れると男性の70代の息子が出てきた。男性は約10年前、80代で亡くなっていた。記者が取材の趣旨を伝えると、息子は「ああ、陶器のことね。父が亡くなる数年前の身辺整理で売ってしまったよ。売却の記録はない」と語った。

 息子は若いころ、陶器を父に見せてもらった記憶がある。父は石材店を営む祖父に陶器を買ってもらい、たんすに大切にしまっていた。県の指定文化財だと説明もしてくれた。「きれいで、とても良い物だった」。所有者変更の届け出が必要とは知らなかったという。

 この文化財について、記者は6月に秋田県に所在の確認を求めたが、調査は始まっていない。担当者は「個人所有なので、秋田市と調整して慎重に進めている」と話す。

 自ら指定した文化財について、…

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