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 技術の進歩や晩婚化で多くの人が受けるようになった不妊治療。でも、妊娠がかなわず、治療を「卒業」せざるをえない現実もあります。夫婦2人の人生を懸命に模索しようとする当事者たちを、「子どもを育てて一人前」という家族観が苦しめます。

 不妊治療や流産を経験し、不妊カウンセラーとして活動する永森咲希さん(54)は、治療をやめ、子どもをあきらめた人が気持ちをわかち合う「卒業生の会」を開いている。年4回ほど、毎回約2時間。永森さんの進行で8人前後が話し合う。

 「育休中の同僚が子連れで職場に来た時、心に鎧(よろい)をまといながら『かわいいね』と言うことがあります」。39歳から始めた不妊治療を43歳でやめた都内の会社員女性(46)は昨年から会に参加し、そんな話を打ち明けた。

 別の参加者は「自分にはそれはできない」と漏らし、永森さんからも、「嫌な時は無理をしなくていいし、そんな自分を嫌悪しなくていい。人間だからそんな感情もあります」と言葉をもらったという。女性は「自分の気持ちに素直になってもいいんだな、とほっとした」と振り返る。

 女性は体外受精で、10回以上受精卵を子宮に移植した。10回を超えてから初めて、妊娠の陽性反応が出たが、心拍は確認できなかった。

 陽性が出た時、うれしさもあったが、高齢出産になることなど、それまであまり意識しなかった不安も強く感じた。忙しい部署への異動も重なり、クリニックへ通いにくい状況になった。収入を考えると、退職して治療に専念することはできなかった。

 女性は「治療中は『いつか子どもを』という目標があったから気持ちを保てた。でも今、その目標がない。終わりのない悩みの世界に放り出されたよう」と話す。

 子どもがいる人を前提にしたような発言を聞く時が、「一番つらい」という。

 上司の女性が「子どもを育てて…

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