日光浴好きなワオキツネザル カメラ、三脚にも興味津々
360度いきもの目線
特徴は、白黒の輪のような模様の尾っぽ。和名の「ワオ」は、「輪尾(わお)」が由来だ。手足を広げて日光浴をするサルとしても知られるワオキツネザル。大阪府吹田市にある生物ミュージアム「NIFREL(ニフレル)」で、360度動画を撮影した。
同館は動物園、水族館、美術館の要素を併せ持つ施設。飼育コーナーに柵がなかったり、壁に埋め込む形の水槽を置いていなかったりと、様々な角度から観察するための工夫を凝らしている。もちろん、指定された生物以外に触れることはできない。
ワオキツネザルは、「うごきにふれる」というテーマの、広々としたコーナーにいた。
自動ドアが開いて中に入ると、何だか騒々しい。両翼を開くと3メートルほどもあるモモイロペリカンが低空を飛んできたり、ワオキツネザルたちが足元をすり抜けたり……。生きものたちの遊び場に入り込んだような感覚だ。
撮影の準備をしていると、ワオキツネザルが近寄ってきた。キュレーター(飼育員)の澤峻介さん(25)によると「ワオキツネザルはとても穏やかな性格です。でも、好奇心は旺盛で、物珍しいものがあるとすぐに近寄ってきます」。確かに、三脚によじ登ろうとしたり、カメラのレンズをのぞき込んだり、みんな興味津々だ。
撮影は開園前の時間、ワオキツネザル10頭が朝食を食べる様子を狙った。360度カメラの周囲にエサを並べて待っていたところ、入ってくるやいなや猛ダッシュ。活発なサルたちもエサを食べている時だけは、ちょっとおとなしかった。
食後しばらくすると、開園時間。おなかが落ち着いたこともあってか、体を温めるために設置されているスポットライトの前で、得意の「おなか丸出し」ポーズ。入ってきた来園者たちが、盛んに撮影していた。
ワオキツネザルは、アフリカのマダガスカル島南部から南西部の熱帯地域に生息する固有種。キツネのような細長い顔立ちからキツネザルと呼ばれている。体温調節機能があまり発達していないため、太陽に向かって座り、手を広げて、全身で日光を浴びるポーズをする。果物や植物の葉などを食べる。(竹谷俊之)