[PR]

 盗難などで所在不明になっていた文化財が戻ってきても、傷つくなどして修復を余儀なくされる場合がある。

 福岡市の寺院・油山(あぶらやま)観音にある国の重要文化財「木造聖観音坐像(しょうかんのんざぞう)」は2009年10月に盗まれ、翌月のオークションで変わり果てた姿で出品されているのが見つかった。

 あちこちの金箔(きんぱく)がはがされて下地の黒い漆がむき出しになり、盗難前は外れて仏像の後ろに置かれていた腰の衣「天衣(てんね)」が釘で取り付けられていた。手に持つ蓮華(れんげ)の高さが変わる細工もされていた。

 「マイルドな表情の仏様だったんやけどなあ。きつい印象になっていた。ひどいことしよる」。修復にあたった公益財団法人美術院国宝修理所(京都市)の八坂寿史・工房長(63)は振り返る。

 文化庁によると、国宝・重文は盗まれて傷つけられた場合でも、劣化につながる傷は修復するものの、外観については手を加えることを避けるため、なるべく修復しないことが基本だ。あまりに痛々しい場合に修復を検討するという。

 八坂さんによると、仏像を元の印象に近づけるために、残っている金箔と新たにはる金箔を同じ色合いに見せるのが課題だった。修復に入るまで4カ月間、どんな方法で臨むか議論し、仏像と似た材質のものに金箔をはるテストを重ねた。結局、漆で金箔をはった後に顔料を塗る伝統的な手法に落ち着いた。

 八坂さんは「盗品と発覚するのを防ごうとしたのだろうが、変えすぎると価値が失われる。その間で犯人も悩んだのではないか。もっと踏み込んだ改変をされていたら、戻らなかったかもしれない」と話す。

 八坂さんがこれまでに担当した中には、動かす際に引きずられたり、バールではがされたりした際の傷が深く、修復できなかった仏像もあったという。

■「10年後は直せないかもしれ…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら