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 夏休みの旅行客らでにぎわう成田空港。年間約4千万人が行き交うが、空のイメージだけではない別の顔もある。生マグロの輸入量は国内の7割以上を占め、「成田漁港」とも呼ばれる。空港内には300を超える店があり、合計売上高は全国の商業施設でもトップクラスだ。5月に開港40年を迎えた巨大空港の意外な一面を探った。

 空港内の貨物地区に続々と輸出入品が集まる。ウナギ、チェリー、バラ、馬肉……。箱積みの商品を載せたフォークリフトが慌ただしく走り、通関チェックを終えるとトラックへ。

 グアムから午前9時半すぎに到着した旅客機から、乗客とは別に約230匹のメバチマグロやキハダマグロが下ろされた。箱に「PALAU(パラオ) FRESH(フレッシュ) TUNA(ツナ)」。太平洋の島国・パラオで取れた生マグロだ。昼ごろにトラックに積み込まれ、翌日には全国の百貨店やスーパーに並ぶ。

 生マグロの輸入を展開しているのは、香港に本社を置く漁業総合会社「ルン・タイ・フィッシング・ベンチャー・リミテッド」。太平洋でとったマグロを日本や米国、中国、カナダなどに空輸し、日本には旅客機で年間約2700トンを運んでいる。その7割が成田空港で、日本支社の武方源・支社長は「成田空港は運送会社が根を張っていて効率的に各地に運べる。通関の手続きも早い」と話す。

 東京税関によると、生鮮・冷蔵の生マグロの輸入量で成田空港は圧倒的な国内シェアを誇る。2017年の輸入量は1万1800トンで全体の77%を占め、2位以下の関西空港(13%)、羽田空港(3%)を大きく引き離す。全国の港で水揚げされるマグロや冷凍マグロの輸入量に比べると量は少ないものの、多くの日本人に好まれる「生マグロ」の一大輸入拠点に変わりない。

 ルン社の武方支社長によると、こうした「空飛ぶマグロ」は特に国内産の水揚げが枯れる夏場に重宝されるという。「太平洋のマグロは身の質が良い時期。お盆の需要もある」と話す。

ショッピングセンター全国トップの売上高

 第1ターミナルの免税店。国際線の出発便が多い夕方には、日本の土産物などを買い求める大勢の外国人客が九つのレジに長い列をつくる。シンガポールに帰国するという30代の男性会社員は「家族や友人に」と、北海道産のチョコレートを10箱以上購入した。

 成田国際空港会社(NAA)によると、免税店や飲食店など空港内にある店舗の17年度の売上高は過去最高の計1246億円となった。業界紙の繊研新聞社(本社・東京)の調査では、百貨店や量販店を除く全国の主要ショッピングセンターの売上高ランキングで、最新の17年度まで5年連続でトップを走る。

 NAAは、新東京国際空港公団が04年4月に民営化する形で発足。世界一高いと言われていた航空機の着陸料を引き下げた際、「減収分を補うため、商業施設の収入を柱の一つに位置づけた」とNAAリテール営業部の担当者は言う。

 現在、空港内の店舗数は約310で04年度の1・5倍。17年度の売上高は04年度の1・8倍まで増えた。NAAの収入全体に占める小売りなど非航空系の収入は、民営化時の34%から17年度は56%に増え、着陸料など航空系の収入を逆転した。

 夏目誠社長は「非航空系にいかに力を入れるかが空港経営にとって重要になっている。今年度に売上高1500億円の目標達成を目指す」と話す。昨年9月には、国際線到着後、帰国時にも購入できる免税店を国内の空港では初めて開業。また、出国手続き後の店舗エリアを増床し、今年7月に7店が開業するなど、昨年11月以降に16店がオープンした。(黒川和久)