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 目が見えない人、耳が聞こえない人が、いつでも映画館で映画を楽しめるようにしたい――。そんな夢を持った人たちが、映画に字幕や音声ガイドを入れることに挑む。そのためには機材を買うお金や仲間が必要だ。19日に佐賀市で「バリアフリー映画上映会」を開き、募金を始める。

 今月10日の午後7時。佐賀市内の会議室に約30人が集まった。「みんなでいろんな映画を見たいからバリアフリー映画をつくる会」の人たち、略して「みないろ会」だ。バリアフリー映画上映会の役割分担や募金の方法を確認。2時間はあっという間にすぎた。

 会ができたのは4月。県視覚障害者団体連合会長・森きみ子さん(63)が昨秋、佐賀市にあるシアター・シエマの支配人・重松恵梨子さん(34)、佐賀市の社会福祉法人理事長、福島龍三郎さん(45)に、バリアフリー映画への思いを話したことがきっかけだ。映画好きでシエマを支える会代表、大歯雄司さん(65)も加わり、4人が発起人となった。

 バリアフリー映画は、目や耳が不自由な人のために音声ガイドや字幕を付けたり、車椅子の人のために段差のないようにしたりして、誰もが楽しめる環境を整えて上映する映画。音声ガイドとは、音として聞こえない「部屋の奥のドアがあく」といった動作などの説明のことだ。

 目や耳が不自由な人向けに、自宅で映画を楽しめるようにするサービスもある。しかし、音響のいい映画館で楽しみたいという声は多い。森さんも「音声ガイドがあると、肩の力を抜いて色んな想像をしながら楽しめ、8、9割は理解できる」と話す。

 音声ガイドや字幕映画はあるが、すべてが対応しているわけではない。いつでも、楽しみたい映画をバリアフリーに――。みないろ会の目標だ。

 来年3月までに30分ほどの日本映画に、自分たちで字幕や音声ガイドをつけ、シアター・シエマで上映することを目指す。福岡から専門家を招いて基本を学ぶことから始める。

 目の見えない人たち一人ひとりの耳元に電波で音声ガイドを届ける装置を購入する費用も含め、100万円を来年1月末までに集めたいという。

 重松さんは「森さんと話し、目が見えない人も映画を楽しめるという気付きがあった。映画館としてはその環境を作っていかないと」。森さんは「来年12月までには、1時間半ぐらいの映画にも字幕、音声ガイドをのせられるようにしたい」と意気込む。(祝迫勝之)

県も映画祭、でも規模は縮小

 佐賀県は、2010年度から「バリアフリーさが映画祭」を開いてきた。

 県文化課によると、最初2年間は9本上映。翌年度以降は減り、15年度は5本になった。この年の予算は約400万円。前売り1作品1千円。障害のある人らは500円だった。

 16年度からは「みんなで楽しむ映画上映会」に変わり、観覧無料になった。ただ上映は昨年度まで2年続け3本、予算は約170万~200万円。今年度は1本か2本の予定で予算は約160万円まで減った。来年度は開くかまだ決まっていないという。

 同課の上田裕介さんは「地域の人たちが自主的に上映、運営に関わっていく土壌が必要。県としては支援していく仕組みが理想」と話している。

19日に上映会も

 19日は、午後3時(同2時半開場)からドキュメンタリー映画「もうろうをいきる」(西原孝至監督)をシアター・シエマで上映する。目が見えなくて耳が聞こえない人たちの生活や思いを追った映画で、当日は西原監督が来場する。音声ガイドや字幕がつく。音声ガイド装置は、外部から借りて準備するという。入場にはみないろ会への募金、1千円が必要。ただ入場の申し込みが多く、当日空きがあれば入れるという。問い合わせはシアター・シエマ(0952・27・5116)。

 

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