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 全国的に進む受動喫煙対策。「加害者」にならずに済む方法は禁煙だが、これが難しいという方も。なぜ禁煙に失敗するのか、高橋胃腸科外科医院(山形県米沢市)の院長で、やまがた受動喫煙防止宣言実行委員長を務める高橋秀昭さん(73)に聞いた。

 ――山形県民1万人以上を対象に県が2016年秋に実施した県民健康・栄養調査では、全体の喫煙率は20・2%で、全国平均(18・3%)を超えていました。特に20、30代の男性で全国平均を大きく上回っています。なぜでしょうか。

 若い人の喫煙は、健康をあまり意識しないことが一因ではないでしょうか。また、周りに喫煙者が多いと、たばこをやめるよう言われることが減ります。

 また、田舎に行けば行くほど、喫煙できる環境が残っています。食堂やラーメン屋に行けばたいてい灰皿がありますよね。どこででも吸えるとなると、禁煙は進みません。

 ――受動喫煙の対策どころではない環境ですね。

 喫煙者に「加害」の意識が低いことも問題です。たとえば、子どもも乗っている車の中でたばこを吸う人がいますよね。これが問題にならないことが意識の低さの表れだと思います。

 それでも、県は2015年に「やまがた受動喫煙防止宣言」を出しました。学校や病院は敷地内全面禁煙、図書館など公共性の高い施設も建物内禁煙などを進めてきました。

 ――順調ですか。

 課題は飲食店です。お酒を楽しむ居酒屋やバー、スナックなどは9割が対策をしていません。

 お酒を出す店では、禁煙にすることで客が減ってしまうのではないかという経営者の不安が根底にあるように思います。ですが、一時的に客が減っても、新しい客層が店に来るようになって持ち直すという報告もあります。こうした報告をもとに、居酒屋などでも禁煙が進めばと思います。

 ――禁煙に失敗したという話はよく聞きます。

 禁煙は、日々の習慣、日常生活を変えるということ。本人の意志のほか、周りの環境も重要です。家族や友人がたばこを吸っていると「やめなくてもいいんじゃないか」と思ってしまう。そこで「ちょっと吸ってみれば」と言われると、吸ってしまうことも。

 職場や自宅などでたばこが吸える環境があると失敗してしまう人もいます。周囲の環境をどう整えるかが大切になります。

 ――禁煙を続ける秘訣(ひけつ)は。

 そもそも、「たばこをやめたい」という本人の強い気持ちや理由が大切です。「周りからやめろと言われたので禁煙します」という人は、長続きしません。

 ただ、たばこの害はさまざま。まずは、がん。喉頭(こうとう)がんや肺がん、胃がんなど、さまざまながんを引き起こしやすくなります。

 お金もかかりますね。1日1箱吸うとします。1箱400円で計算すると、年間で約15万円、10年間では約150万円になります。車が1台買えるくらいの金額。こうした喫煙のデメリットをしっかり理解した上で、禁煙に取り組むことが重要です。

 禁煙を始める時期に「遅い」ということはありません。お近くの禁煙外来を受診下さい。受動喫煙の加害者にならずにすみます。(聞き手・宮谷由枝)

    ◇

 たかはし・ひであき 1945(昭和20)年、米沢市生まれ。弘前大学医学部卒。米沢市医師会長などを歴任。2015年に委員長に就いた。趣味はゴルフと写真で、出かけるときにはいつもカメラを持ち歩く。

 

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