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 20日の準決勝第2試合。済美(愛媛)は二回に1点を先取したが、史上初となる2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭にはね返された。済美の三塁手で主将の池内優一(3年)は八回、相手の強烈な打球を首元に受けた。その時、駆け寄ったのは中学時代のチームメートで大阪桐蔭の三塁コーチャーを務める俵藤夏冴(3年)だった。

 池内は二回、先頭打者として二塁内野安打を放ち、山口直の右前安打でホームを踏んだ。だが、1点取った喜びはなかったという。「あの回にもう1点取れていれば。大阪桐蔭は、もう1点をくれなかった」

 なお2死一、二塁から政吉が中前に運び、二塁走者の伊藤が本塁を狙ったが、相手の中堅手・藤原の好返球でアウトに。反対に、大阪桐蔭はチャンスで一気に畳みかけてきた。同点の五回の守りでは池内の失策も絡み、一挙3点を奪われた。池内は「粘り負けしました」と完敗を認め、泣き崩れた。

 三塁手として見る相手打線の打球も強烈だった。「全員が4番打者くらいの能力だった」。八回の守備で、小泉の鋭いゴロは手前でイレギュラーしたこともあり、池内の首元に当たって内野安打に。その時、コールドスプレーを持って飛んできたのが俵藤だった。

 2人は中学時代、愛媛の今治中央ボーイズでチームメートだった。副主将の俵藤が主に3番、主将の池内が5番を打った。全国大会で準決勝まで勝ち上がったこともある。そして高校では、準決勝で対戦。試合前、「あの時と同じ、ベスト4やな」と言葉を交わした。

 地元を出て大阪桐蔭に進んだ俵藤は、層の厚いチームの中でもがきながら、内野ならどこでも守れる守備力でベンチ入りを勝ち取った。今大会は相手選手がけがをした時に手当に走る場面が何度かあり、球場から拍手を浴びた。池内は言う。「気付いたら近くに俵藤がいて『大丈夫か』と。中学時代から相手のことを考えられる視野の広い選手で、人として尊敬できると改めて思いました」

 試合後、思いは親友に託した。「春夏連覇、頼んだぞ」。池内には悔しい敗戦になったが、試合中も俵藤とすれ違うたびに言葉を交わし、「思い出に残る試合になりました」と涙をぬぐった。(伊藤雅哉