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 栃木、群馬両県にまたがる日光白根山(標高2578メートル)の噴火に備える火山防災協議会が22日、宇都宮市であり、どこでどのような災害が起こるかを予測した火山噴火ハザードマップが初めて示された。当初は2015年度までに具体的な避難計画が策定される予定だった。

 協議会には両県や地元の栃木県日光市や群馬県沼田市、片品村の関係者、火山専門家、陸上自衛隊員らが出席した。2014年3月に設置された同協議会ではこれまで、気象庁などが作成した「噴火シナリオ」や、5段階の噴火警戒レベルに対応した基本策などが示されてきた。ハザードマップはこうしたデータに基づき、新たに火山灰の行方や土石流の方向について地図に示した。

 火山灰の影響はこれまで風向きで異なり、風下方向に約8キロ離れた地点で数十センチに及ぶとしていた。しかし、周辺では西から東に吹く風が多く、1649年の中規模の水蒸気噴火でも群馬から栃木側に風が吹いて流れたことを勘案。ハザードマップでは火山灰は栃木側に流れるとした。

 また、気象庁が100年に一度の雨が降った場合には、24時間の雨量は581ミリと算出。火山灰が積もると雨が地中にしみこみにくくなることから、マップでは日光市湯元地区には降灰後に3メートル以上の土石流が発生する可能性があることを初めて示した。ただ、栃木県危機管理課は「県内側での火山泥流は大雨が降った後の想定。噴火直後の影響ではないので、雨が降るまでに早めに避難すれば十分防げる」としている。

 協議会がこれまでに示してきた噴火シナリオによると、火口は山頂から半径500メートルの山域。水蒸気噴火では噴石は火口から半径1・5キロの範囲に、マグマ噴火では火口から同3キロの範囲に飛ぶなどの影響が及ぶと想定している。3キロ以内に人家はない。

 火砕流は群馬県片品村方向へ、通常期なら沢に沿って7キロ、積雪期なら融雪型の火災泥流となって13キロ離れた地点へ達する可能性があるとしている。噴火シナリオは過去1万年の噴火や近年の他の火山を参考に被害を想定している。

県境の火山 策定遅れ

 国内に111ある活火山のなかで、気象庁が地震計やGPS、高感度カメラを使って24時間態勢で監視を強化している常時観測火山は50ある。県内では日光白根山と那須岳が含まれている。1月には常時観測火山の草津白根山(群馬県)が噴火した。

 国は2011年、東日本大震災を機に防災基本計画を見直し、49火山について火山防止協議会などの体制整備を都道府県に促した。日光白根山でも14年3月に協議会が発足。当初の計画では15年度までにハザードマップと避難計画の策定などを終え、16年度には防災訓練も予定していた。だがスケジュールは大幅に遅れている。

 同協議会の参加者の1人は「両県をまたぐ火山の問題点がある」。協議会は両県で1年ごとの持ち回りで、調査には年度ごとに各県の予算措置が必要になるなどの問題を挙げる。「双方の緊密な協力があることで推進できる。そのあたりは今後、検討の余地がある」と指摘する。

 協議会では今後、完成したハザードマップをもとに避難計画を策定。火山防災マップづくりにも着手したうえで、防災訓練も実施していく計画だ。(常松鉄雄)