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 夏休み明け、学校に行くのがつらい――。そんな子どもたちのため、不登校支援などに取り組む各地の団体が居場所の開放を始めた。かつて不登校だった若者たちも、劇場や大学での集いで自らの体験を語る。1人で苦しまず、様々な生き方を知ってほしい、という願いを込めて。

 「学校や家以外の場所に行ってみることっていいことだよ、と伝えたい」。そう話すのは、中学生時代の大半を不登校で過ごした川崎市在住の大学4年生の男子学生(22)だ。

 世田谷パブリックシアター(東京都世田谷区)で、9月2日午後1時から中学生向けに開かれる無料イベント「学校生活はいろいろあるけれど……みんなよりちょっと先輩の話聞いてみない?」に参加する。この企画は、不登校やいじめにあった先輩たちが、学校に足の向かない子たちと語り合ったり、一緒に思いをカルタにして遊んだりしようという初の試みだ。出入り自由で、演劇をしたり見たりするわけではない。

 この男子学生は、小学校の頃から学校が苦手で、同シアターなど各地のワークショップに参加した。公立中学時代、生徒手帳を隠されるなどのいじめを受け、不登校に。だが、進学した高校では、仲間と楽しい時間を過ごし、ほとんど休むこともなくなった。「僕自身、死にたいと思ったことも何度もある。でも、学校の人間関係で悲鳴を上げるくらいなら行かなければいい。逃げれば楽しいこともある」

 同シアターは2013年から毎年秋に中学生演劇部の連続ワークショップを開いている。過去5年で約60人が参加したが、その中には学校を休みがちの子も少なくなかった。そこで、夏休み明けに学校に行きたくない子に様々な居場所があることを知ってほしいと、今回は単発の気軽な集まりとして企画したという。

 演劇部の卒業生で高1の女子生徒は、中2の時、お弁当を1人で食べることが多く、中3でワークショップに参加した。「ここに来ていろんな話ができた。悩んでいる中学生はぜひ来てみてほしい」という。企画した同シアター演劇部の恵志美奈子さんは「演劇は、学校の多数決のような合意形成とは違い、だれもが好きなことを言える場。自分の話はしたくなければしなくてもいい。ちょっとおしゃべりに来てみたらどう?」と話す。

 青山学院大学(東京都渋谷区)の本多記念国際会議場では、9月8日午後5時から「僕たちは学校に行かない」と題したフォーラムが開かれる。渋谷区と日本財団が7~17日に主催する「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」の一環。学校に必ず通うという前提を、子どもたちとともに問い直す企画だ。

 当日は、学校に通わないまま教育系ウェブサービスを開発したり、画集を出版したりしている東大と日本財団の異才発掘プロジェクト「ROCKET」1期生の10代3人が登壇。高1で学校をやめ、米国の「中退者」を必須条件とする奨学金を受け取り、全米でコンピューターサイエンスクラブを運営する20代の米国人起業家も加わり、会場とも対話する。

 登壇する浜口瑛士さん(16)は、いじめを受けるなどして小学6年生から不登校だが、中学時代に画集を出版した。「学校という場を失ったら全てを失うような気がしていたけれど、そんなことはなかった。いろんな道があるのだから、自分のやるべきことを考えていけば、案外、大丈夫だと伝えたい」と話す。

居場所解放、電話相談も

 「学校がつらくてもココがあるよ!プロジェクト2018」を展開するNPO法人「フリースクール全国ネットワーク」(東京)のウェブサイト(http://freeschoolnetwork.jp/別ウインドウで開きます)では、8月下旬から9月にかけて居場所を無料で開放したり、電話相談を受け付けたりする全国のフリースクールを紹介している。

 その一つ、東京シューレは29日から部屋を無料で開放し始めた。「つばさスクール」(埼玉県吉川市)は、9月3、4日の午前10時から午後1時まで居場所を無料開放する。申し込みは不要。この期間以外でも平日は開いている。担当者は「学校に行けないからといって人生は終わりではない。あなたらしくいられて、学べる場、力が発揮できる場所は必ずある」と話す。(宮坂麻子、張守男)