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 熊野本宮温泉郷の一つ、川湯温泉(田辺市本宮町)で24日、旅館や民宿、ペンションの8施設すべてが濁流に襲われた。過去にない増水の速さと勢いに、施設のスタッフは「こんな被害は初めて」と戸惑った。

 自治会長を務める「民宿立石」の小渕昇さん(72)によると、23日午後11時ごろから大塔川の水位が急上昇しだした。道路を越えて建物入り口の階段まで来た濁流が、1階内部へと流れ込むのに30分もかからなかったという。「7年前の紀伊半島大水害は玄関ギリギリで止まったのに」。テレビなどわずかな品しか2階へ運べなかったという。

 ペンション「あしたの森」でも、水はあっという間に1階の大人の胸の高さまで来た。濁流に浮いてひっくり返った冷蔵庫はもう使えない。そもそもブレーカーが水没して、電気も使えない。経営者家族の栗栖和宏さん(52)は「スタッフ、親戚、知り合い総出で再開を急ぐしかない」と片付けの手を止めて、厳しい顔で語った。(東孝司)