[PR]

 ユニホームの背に、義弟であり、最愛の友の名前が縫い付けられていた。「あいつに、敬意を表したかったんだ。特別なことをしたかった」。エンゼルスの中心選手、マイク・トラウト(27)は語る。背中には「A・COX」。妻の弟の名前だ。

 大リーグは24日(日本時間25日)、3日間の「プレーヤーズ・ウィークエンド」が始まった。昨季からの企画で、選手の個性や成長にスポットを当てる。各チームのユニホームはリトルリーグの色彩を意識し、背中にはニックネーム。大谷翔平の場合は「SHOW TIME」とあった。投打の活躍が、現地やチーム内で「SHOW TIME」と表現されているからだ。

 打率3割、本塁打30本を毎年のようにクリアする大リーグ最高の選手であるトラウトはもともと、「キッド(KID)」の愛称から、「KIIIIID(キーーーーーッド)」のユニホームを着るはずだった。しかし、義弟で、元エンゼルスのマイナー球団の投手だったアーロン・コックスが先週、他界した。

 トラウトと妻のジェシカさんは同じ高校の出身で、弟のアーロンも高校の後輩だ。当然、つきあいは長かった。「音楽を聴いていても、『あ、これはあいつと一緒に聴いた曲だ』と思い出すくらい。親しい家族を亡くすと、悲しみは深い。夢なら覚めてほしい」と吐露する。

 そこで急きょ、追悼の意味を込めて「A・COX」のユニホームを用意してもらった。右手首を痛めて6日から故障者リスト入りし、加えて義弟の不幸で、24日が復帰戦。試合には敗れたが、自身は三塁打に左前安打とチーム唯一の複数安打で気を吐いた。

 「試合のルーティンに戻ると、少し気が紛れる。ここ数日はつらかった。精神的には疲れているけど、プレーできてよかった」とトラウト。天国の義弟に捧げる、2本のヒットだった。(アナハイム=山下弘展)