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 書棚やたんす、食器棚に冷蔵庫。家の中は、地震が起きると「凶器」になりうる家具や家電製品であふれている。

 東日本大震災で、東京都内は最大震度5強の揺れを記録した。東京消防庁が都内の約1200世帯に尋ねたアンケートによると、22%が「家具類の転倒・落下・移動があった」と答えた。新潟県中越地震や福岡県西方沖地震、岩手・宮城内陸地震などに際して同庁が調べたところ、けがの3~5割は家具類の転倒・落下・移動が原因だった。

 では、どのような対策を取ったらよいのだろうか。

 ホームセンターに行けば家具の転倒を防ぐためのさまざまな器具が売られているが、東京消防庁震災対策課の中野裕光さんは「対策には順序がある」と説く。

 中野さんによると、「まずは生活空間になるべく家具を置かないこと」。家具がなければ倒れてくることもない。衣類や生活用品はクローゼットなど作り付けの家具に収納し、寝室やダイニング、避難通路となる廊下にはなるべく家具を置かないようにする。

 その次に、家具の配置をよく考える。人のいる所に倒れたり、避難通路をふさいだりしないように工夫したい。

 転倒防止は、こうした取り組みをした上で考える。防止器具には壁に固定する金具やベルト式、天井との間に設置するポール式、下に敷くマット式やストッパー式などがある。高齢者や障害者らを対象に、器具への助成制度を設けている自治体もある。

 壁に金具をねじ止めして固定する方法は効果が高いが、壁を傷つけることに抵抗のある人や賃貸住宅で取り付けられない人もいる。その場合、ポール式やマット式、ストッパー式を使うことになる。「家具に合っているか、振動実験をしているかなど商品説明をよく読んで買って欲しい」と中野さんは助言する。

 ポール式は、天井自体が弱かったり、家具と天井との距離が長かったりすると十分な効果が得られない。弱点を改善するため、家具販売の大塚家具はポールの上下に板を付けた器具を開発した。同社商品部の植野隆司さんは「重い物を下に収納し、天井と床、壁の三方を活用してさまざまな器具を組み合わせて使うことが有効です」と話す。

 高層階では、ベッドや水槽といった背の低い家具類も横滑りする危険性がある。壁に固定するなどの「移動対策」が必要だ。

(2013年8月19日朝刊の記事を再構成。肩書は掲載当時)

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