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 戦前・戦中に撮影された白黒写真を最新技術と人々への聞き取りをもとにカラー化する取り組みについて、この夏の紙面で紹介した。市民向けのワークショップが8月に広島市内であり、記者も取材を兼ねて写真の色づけに挑戦してみた。

 8月8日、広島市中区の市立中央図書館内の一室に、市民約30人が集まった。「記憶の解凍」と銘打ったワークショップだ。

 講師は、渡邉英徳・東京大学大学院情報学環教授(44)。原爆投下前の広島の風景や人々をとらえた白黒写真を、人工知能(AI)技術を使って自動色づけし、写真の持ち主らと対話をしながら手作業で実際の色に近づけていく。そんなプロジェクトを広島女学院高校の生徒らと進めてきた。

 「皆さまにも体験して頂きます」。自らのiPhone(アイフォーン)を手に、渡邉教授が呼びかけた。

 参加者はまず、白黒写真とともに持参したスマホやタブレットなどに、グーグル社が開発した非接触スキャナーアプリ「フォトスキャン」をダウンロード。写真に手を触れることなくスマホなどに取り込める無料アプリだ。

 続いて、白黒写真の自動色づけソフトに、ネットでアクセス。ここに写真を取り込み、ボタンを押すと、1、2秒程度で色づけされた写真が現れた。参加者からは「うわー」「すごい」と次々に歓声が上がった。

 渡邉教授は「カラーにすると、写真の向こう側に空間が現れ、息づかいを感じる。そして、情報量が増える。白黒だと気づきにくいことがあります」と言う。

 一方で、こんな技術の限界についても触れた。呉から撮影した広島のキノコ雲の写真をカラー化した時のこと。AIは白く再現した。ところがツイッターで公開すると、「その色じゃない」と指摘された。「キノコ雲の色はピンクだったり、オレンジだったり、証言によってばらばらだが、人工知能はこれを入道雲だと認識したんです」

 鈴木俊哉さん(60)はこの日…

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