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 熊本県などでの一連の地震に絡み「1カ月後に大地震が起きる」というデマが広まった。ただでさえ、不眠やいら立ちといった、ストレスが原因とみられる症状を抱える子どもたち。さらにおびえ、傷ついた子もいる。行政は心のケアに力を入れる。

 震度7の地震が2度起きた益城町。広安西小学校の5年生の女児(10)は、本震後、夜はトイレに1人で行けなくなった。震度7の揺れは夜と未明に起きた。

 女児は「地震の時、物が落ちる音が怖かった。壁がミシッと音を立てると体がビクッとなる」。取材中も余震が発生。女児は父親(44)の腕を握り、妹(5)も父親の体にしがみついた。

 不安に輪をかけたのがデマだった。5月17日にまた大きな地震が起きるという「未来人の予言」。女児は、母親のLINEに回ってきたのを見た。「みんな知っていて、本当みたいで不安だった」。女児は17日が近づくと怖がるようになり、16日の夜は、親が避難する準備をしっかりしたのを見せて寝かせたという。

 父親は「『未来人の予言』なんて普段なら笑い飛ばせる内容。でも、震度7を2回経験した精神状態では『もしかしたら』という不安が心の奥底から拭えない」と話す。

 このデマはネット上に投稿され、急速に広がったらしい。熊本地方気象台には問い合わせが寄せられた。NHKにも問い合わせが相次ぎ、公式ツイッターで16日、デマと考えられるとツイートした。

 熊本市内や県内だけでなく、大分県別府市や由布市の小学校の一部でも、うわさとして広がっていたという。

治療必要な時も

 碓井真史・新潟青陵大教授(社会心理学)の話 大きな災害時にデマが広がることは珍しくない。元々、子どもは怪談などが大好きだが、今回は余震への不安な心理と結びつき、一層強い不安行動として表れているのだろう。こうした不安な心の状態が長く続けば心的外傷後ストレス障害(PTSD)で治療が必要になる場合も出てくる。他県などから来たスクールカウンセラー(SC)の力を生かせるよう、学校側も積極的にSCを活用して欲しい。

(2016年5月25日朝刊の記事を再構成。肩書は掲載当時)

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