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 連日のように気温が40度を超え、熱中症で亡くなる人も相次いだ今夏。こうした酷暑に来年以降も見舞われるとすれば、何に注意すればいいのでしょうか。暑さに強い体づくりとは? 専門家に聞くと、涼しいうちの対策こそが重要なようです。

暑さに強くなるには……汗をかく練習が必要?

 夏を乗り切るための対策は、体の夏支度として「暑熱順化」を進めておくことだ。暑い環境に身を置いたり、暑い中で運動したりすることで、たくさんの汗をすぐにかけるようになる。体温上昇や心拍数の増加が抑えられ、暑さに耐えられる体になる。

 大阪国際大の井上芳光教授によると、暑い中で運動し、熱の刺激が伝わることで、脳や末梢(まっしょう)の神経が暑さに敏感になるという。井上さんは「眠っている力を目覚めさせておくようなもので、本格的に暑くなる前からやってほしい」と話す。

 運動は、本格的に暑くなる前の5~6月ごろから始めると良いようだ。1~2週間かけ、「やや暑い」環境で「ややきつい」と感じる運動を意識的にすると良い。続けることが大切なので、徐々にきつくしていき、体を慣らす。ただし、水分と塩分の補給も忘れない。運動の後に糖質とたんぱく質をとると、循環する血液量や発汗量が増え、さらに効果的だとされている。

 日本生気象学会が公表している「日常生活における熱中症予防」(http://seikishou.jp/pdf/message/heatstroke.pdf別ウインドウで開きます)では、「インターバル速歩」が推奨されている。3分早歩きをしたら、次の3分はゆっくり歩く。これを1日に5回以上繰り返すもので、高齢者や体力のない人でも手軽にできる対策だという。

 運動をするときには、日本スポーツ協会が公開している「熱中症予防ガイドブック」(http://www.japan-sports.or.jp/publish/tabid776.html#guide01別ウインドウで開きます)や環境省の「熱中症環境保健マニュアル」(http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php別ウインドウで開きます)なども参考になる。暑くなり始めの時期は、熱中症にもなりやすい。体調に注意しながら進めることが大切だ。

 熱中症対策に詳しい医療福祉センターさくら(兵庫県三田市)の服部益治院長も「涼しい時期に運動をしてしっかり汗をかけば、汗腺を鍛えることはできる。1年スパンで考えよう」と話す。

暑さに強い体とは

 こうした夏に向けた体作りは、本来は1年を通じてしっかり体を動かすことで鍛えるのが良いと、井上さんは言う。「日常的にトレーニングしているスポーツ選手の発汗機能がいいように、普段の努力で汗をかく能力の最大値を上げておくといい」

 運動による暑熱順化では、子どもよりも大人の方が、少ない運動で暑さになれるようになるため効率がいい。ただ、長期的にみれば、温暖化によって日本の気候が変化する中で、私たちは今より優れた発汗機能を身につける必要が出てくるかもしれない。そのため、子どもの時からの習慣こそが暑さに強い体づくりにつながると、井上さんは指摘している。

冷房病予防にも運動

 とはいえ、エアコンを使うと体調が悪くなるという人もいるだろう。運動は、こうした「冷房病」の予防にも有効だという。

 冷房病は、室内と屋外の温度差による体調不良のこと。エアコンが利いて涼しいところと、屋外の暑いところとの行き来をしていると、体に不調をきたすことがある。

 暑いところでは皮膚の血管が開き、寒いところでは閉じるが、それを繰り返しているとだんだんと反応が悪くなり、自律神経がまいって疲れやすくなる。

 冷房病を防ぐにも、適度な運動が効果的だ。皮膚血管の開閉が鍛えられ、こうした症状を防げるという。

<アピタル:医療と健康のホント>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/honto/(松本千聖、鈴木彩子、水野梓