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 ずっと守られてきた文化財が次々と散逸している。どうやって未来に継いでいくのかを、文化財行政の要を担う宮田亮平・文化庁長官に尋ねた。

みやた・りょうへい 新潟県生まれ。金工作家。イルカをモチーフとした「シュプリンゲン」シリーズの作品で知られる。東京芸大学長を経て2016年から現職。

 ――国などの指定文化財の多くが所在不明です。文化庁はどう考えますか

 本当に断腸の思いです。長官に就任して2年経つが、由々しき問題。ただ、まだ手遅れではない。陣頭指揮をとって粘り強く捜し、日本の素晴らしい文化財を守っていきます。

 ――どのように守るのですか

 所有者と連絡を密にとっていくしかありません。自治体職員などを対象に毎年、文化庁が研修会を開き、自治体の良い取り組みも紹介する。文化財を受け継ぐと、所有者側に価値がわからないこともある。貴重な物であると、文化庁が発信して意識を高めていきたい。

 ――盗難を防ぐためにも、文化庁がデータベースをつくるべきでは

 盗品が出てきた際の証明になるので、少なくとも写真を撮っておくことが必要です。文化財の情報を集め、共有できるひな型を作りたい。それをやっていないのがおかしい。今回の文化財保護法改正で、国宝・重文は保存や活用の計画を作ることになったが、計画書には文化財の情報も載せる。これに準じて都道府県指定の文化財も作ってほしい。膨大な時間と人力が必要だが、都道府県と協力してやっていきたい。

 ――文化財を地域で守り切れなくなっています

 地域が細っている状況を逆にチャンスにするような取り組みも必要です。地元の歴史や身の回りの文化財の価値を再発見し、公の財産に指定して守っていこうという動きがあれば支えていきたい。

 ――文化財を後世に継ぐ意義を改めて

 文化や芸術には、人間を根源から揺さぶる力があります。そして、私たちが考えるよりもっと身近にあるものです。住民の皆さんに「わが街には素晴らしい文化財がある」と気づいてもらいたい。そうすれば守っていく気持ちが自然にできるし、地域の活性化にもつながる。若い人がITを活用する取り組みもあり得ます。その環境づくりをしていきたいです。(富田洸平、石川智也)

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 新潟県生まれ。金工作家。イルカをモチーフとした「シュプリンゲン」シリーズの作品で知られる。東京芸大学長を経て2016年から現職。