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 世界遺産・平等院(京都府宇治市)の鳳凰(ほうおう)堂壁面にかけられている国宝の雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)の1体に、腹の部分を真横に切って薄板を入れ、像の傾きを修正したとみられる跡があることが、奈良国立博物館のX線CTスキャン調査でわかった。薄板は完成間近に挿入されたと考えられ、理想の姿へと大胆な修正もいとわなかった仏師の姿勢の表れと、同博物館はみている。

 雲中供養菩薩像は本尊の阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)を囲むように、左右と背後の壁の高い位置にかかる。全52体で、みな雲に乗り、楽器を奏でるなど様々な姿。本尊を制作した平安時代の仏師・定朝(じょうちょう)の一門の作とされる。

 今回の調査対象は、昨夏の同博物館特別展に出展された菩薩像「南14号」。高さ約60センチ。腹部に継ぎ目があるのは知られていたが、CTスキャンによって上下の木目が一致し、同一材であることが判明した。さらに右腰の後ろに、幅約3センチ、奥行き約5ミリ、厚さ3ミリ程度の薄い板が挟み込まれているのが新たにわかった。この板のため上半身が左ななめ前に傾くようになっていた。上下を別々に制作したとは考えにくく、像の形ができあがった後、傾きの修正のため切断したとみられるという。

 同博物館の山口隆介主任研究員は「微妙な傾きにまで配慮した結果。大胆な修正をしてまでも理想的な空間を作り上げたかった定朝のすごさを感じる」と話す。雲中供養菩薩像には、ほかにも上下に接がれているものがあり、山口さんは「他の菩薩像も調査することで、定朝が構想した鳳凰堂の空間に関する研究がさらに進むだろう」という。(小山琢)