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 先月に53歳で亡くなった漫画家のさくらももこさんが、学生時代に初めて描いたというサイン色紙が、かつて奈良県明日香(あすか)村の茶屋にあった。それを知ったファンが次々とやってきた。店を営んだ夫妻は色紙が紡いだ縁とその思い出を今も大切にしている。

 西国三十三所の一つ、明日香村の岡寺へと向かう上り坂の途中に「坂乃(さかの)茶屋」はあった。大蔵成一(しげかず)さん(86)と妻の好(よし)さん(90)が切り盛りし、三輪そうめんや手作りのわらび餅が評判だった。料理を待つ間にお客さんが手持ちぶさたにならないようにと始めたのが色紙への寄せ書きだ。描かれた色紙は店内に飾られた。

 さくらさんが店を訪れたのは1984年11月。当時は静岡英和女学院短大の学生で研修旅行中に立ち寄った。さくらももこというペンネームで5日後の漫画家デビューが決まっていた。友人に勧められてイラストを描き、サインをした。

 夫妻はそのことを忘れていたが、翌年に訪れた同じ短大の学生に「さくらももこさんの色紙はどこですか」と聞かれ、店内の目立つところに飾るようにした。さくらさんは86年から「ちびまる子ちゃん」の連載を始め、90年にアニメの放送が始まるとブームに。茶屋の色紙もファンの間で知られるようになった。「子どもから大人まで本当に多くの人が見に来てくれました」と成一さん。

 2000年秋、一人の女性が店内でさくらさんの色紙をじっと見つめていた。好さんはいつものように「これはさくらももこさんが学生のころに描いた色紙です。うちの家宝です」と話しかけた。

 女性は少し戸惑ったような表情を見せた。好さんが「もしかして、さくらももこさんですか」と聞くと、「そうです。本当にお久しぶりです」。

 夫妻はさくらさんにたくさんの…

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