宝塚歌劇団の元トップ娘役、退団後は筑前琵琶語り奏者として活躍した上原まり(本名柴田洋子)さんが亡くなったのをうけ、1日、宝塚の後輩でもある俳優の黒木瞳さんが追悼文を寄稿した。

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 悲報に接し、大変ショックです。宝塚音楽学校時代、本科生の卒業公演のときに、本公演で「新源氏物語」にご出演なさっていた上原まりさんに私はお化粧をしていただきました。生まれて初めての娘役のお化粧でした。お化粧をしていただいている間、娘役に必要な謙虚さ、華やかさ、品性などをお話ししていただきました。宝塚歌劇団初舞台前のこの貴重な体験は、私の娘役としての始まりであったと今も思います。お辞めになられてから数回しかお会いできませんでしたが、お会いするたびに優しく話しかけてくださいました。あのときにお化粧をしてくださった話をすると、「もう、ひとりでできるわね」とうれしそうにおっしゃっていたのが忘れられません。そう言いながら、もうひとりで歩いていけるのよと、舞台に立つ私の背中を押してくださっていたのです。洋子さんの奏でる琵琶の音色を思い出しながら、心よりご冥福をお祈りいたします。

黒木瞳