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 行政が出す情報を、どうやって命を守る「避難」につなげるか――。西日本豪雨で犠牲者が出た14府県40市町長のアンケートの回答からは、避難を促す行政の模索する姿がうかがえる。

 7月6日午後8時2分、広島市安佐北区の男性会社員(40)のスマートフォンに、「避難指示」を伝えるメールが届いた。帰宅途中に道路が冠水し、マンホールから水が噴き出しているのを見た後だ。避難勧告などを伝えるメールはすでに複数届いており、外は激しい雨。「避難するか、しないか」。こう悩みながらも、「2階で寝れば大丈夫だろう」と判断した。避難指示から7時間半あまり後、轟音(ごうおん)で目覚めた。裏山が崩れ、近所の家が土砂に押し流されていた。

 男性の家族は以後、大雨の際はインターネットで雨雲の動きをチェックし、必要に応じて避難するようにしたという。「どのタイミングで避難するか、考えておくことが必要」という。

 危険性がある程度予想できる台風や豪雨による災害の際、身を守る最善の策の一つが「避難」だ。ただアンケートで住民が避難をためらう要因はどこにあるかという問い(複数回答)には、36市町長が「『自分は大丈夫』などとする危機感の欠如」を選んだ。続いて「避難情報の意味を十分に理解していない」が22市町長。メッセージが届いていないという行政側の悩みが浮かぶ。

 広島市では今回の豪雨災害で約27万3千人を対象に避難指示を出した。しかし、市指定の避難場所へ逃げたのは約9200人と約3・4%にとどまった。こうした状況を踏まえ、広島県は被災地の住民を対象に聞き取り調査をすることを決めた。湯崎英彦知事は取材に対し、「切迫した場面では、行政が避難のために個別介入することは不可能」としたうえで、「一人ひとりが避難行動をとる必要があるが、県としてそのための取り組みが十分ではなかった」としている。

 調査では避難を促す情報伝達のあり方を検討するため、避難勧告や指示を受け避難したか、しなかったのかや、判断の理由を面談により聞き取り、調査結果を行動心理学や防災の専門家らが分析するという。

 広島市でも9月上旬、被害が大きかった安芸区、安佐北区の住民や有識者で、避難行動を分析する検証会議を開く。担当者は「避難指示では手遅れのこともあり、避難勧告で自主的に避難してもらえるような仕組みを目指したい」と話す。

 広範囲に浸水した倉敷市真備(まび)町地区を中心に、61人が亡くなった岡山県も同様の調査をする。伊原木隆太知事は取材に、どういう情報の伝え方をすれば、住民が適切に避難してくれるかを重視していると語った。

     ◇

【アンケートに回答した首長の主な意見】

 尾関健治・岐阜県関市長 大雨特別警報などは市全域を対象として発表される。気象状況には地域差があり、発令の地域区分を細分化する必要がある

 山崎善也・京都府綾部市長 情報の受け手側も日ごろからハザードマップを確認し、自宅や地域にどのような災害リスクがあるのか知った上で、必要な情報を取捨選択して行動をとることが重要

 滝本豊文・岡山県井原市長 刻々と変わる気象情報や避難情報にあわせて、どう行動すればいいのか、何に注意すればいいのかなど、具体的にわかりやすい表現で情報発信することが必要

 片岡聡一・岡山県総社市長 どの情報が居住地に最も影響する内容なのか理解することが困難。地域を限定した情報配信が可能になるよう改善が必要

 松井一実・広島市長 多くの住民が確実に避難を行えるようにする対策が重要で、そのためには地域コミュニティーの活性化を図る必要がある

 枝広直幹・広島県福山市長 避難情報以外にも気象や河川に関する情報がメールなどで伝達され、情報が詳細・高度になりすぎて住民に危機感が正しく伝わっていないおそれがある。情報を受け取る立場に立って、国、県、市で検討が必要

 浜田一義・広島県安芸高田市長 情報の発信元や伝達手段などが一元化されるとわかりやすい。一方で、一元化する手間が増えるため、情報伝達が遅くなったり、誤ったりする可能性も高くなる

 木村健一郎・山口県周南市長 情報の出し方を変えるだけでは、受ける住民の意識は変わらない。行政主体の防災が過度に強調されすぎると「自分の命は自分で守る」という個人や地域の防災力が低下する可能性がある

 菅良二・愛媛県今治市長 防災アプリや登録制メールを利用すれば、いろいろな気象情報などを一元的に収集できる

 管家一夫・愛媛県西予市長 市災害対策本部に河川管理者からリエゾン(連絡係)を派遣してもらうなど顔の見える状態で直接協議し、共有した情報を速やかに住民に伝達し避難を促す体制が必要

 森博幸・鹿児島市長 避難発令や警報に関する表現が専門的な用語となっている。理解しやすい表現方法となる工夫が必要

(一部表現を変えています)

■避難のあり方、国…

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