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 西郷隆盛の妻、岩山糸はなぜ「ワンオペ」で大家族を回せたのか――。JR九州が特設サイトやポスターでこうしたフレーズを使い、「ワンオペ家事を美談にしないで」と疑問の声があがった。JR九州はこのフレーズを削除した。

 ワンオペ(ワンオペレーション)は「業務を一人でこなす」という意味で、家事や育児を一人でこなす姿にも使われている。

 JR九州は、大河ドラマ「西郷どん」放映にあわせ、今年3月から観光キャンペーンを展開。西郷や島津斉彬ら「英雄」が活躍できた理由を「なぜ」と問いかけ、「答えは、鹿児島にある」と銘打って旅にいざなう内容で、西郷の妻の糸子(岩山糸)も採り上げた。

 ポスターには《なぜ岩山糸は、華奢(きゃしゃ)な体で、12人もの大家族をワンオペで回せたのか》と記され、小さく《おいしいものいっぱい食べれば大丈夫!》と添えてあった。サイトでも同じ言葉が使われ、糸が西郷の死後、前妻との子も含め5人の子どもら計12人の大家族を「不平ひとつ言わずに切り盛りした」などと紹介していた。

 8月からポスターが掲示されると、同社には電話やメールで「今の社会情勢からみて不適切では」といった意見が数件寄せられた。ツイッターには「今子育てがんばってる鹿児島のお母さんが気の毒になる」といった感想がポスターの写真を添えて投稿された。

 JR九州は8月29日、特設サイトの糸の項目からワンオペについてのフレーズやエピソードを削除した。同社広報室は「女手ひとつで頑張った糸をポジティブにとらえていたが、ワンオペという言葉は悪いイメージが強かった」と説明する。糸のポスターは元々8月末までの掲載予定だったといい、9月からは大久保利通のポスターに切り替えている。(寿柳聡)