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(26日、プロ野球 広島10―0ヤクルト)

 去年は8月下旬に右足首をけがして入院しました。病室にいると、カープの試合をテレビで見ている人たちの歓声が聞こえてきたんです。鳥肌がたった。すごいな、こういうとこで自分はやっていたんだな、と改めて思いました。

 それでもチームにとって優勝に向かう大事な時期に離脱して、勝ち負けでうれしがったり悔しがったりすることができなかった。その分、今年はすごくうれしいし、幸せですね。

 「ブレークした」と言われた一昨年は「イケイケでドンドン振っていけ!」っていう感じだったけど、去年ぐらいから、自分が研究されているんじゃないかと考えすぎて、持ち味が消えていきました。4番として、とにかく成績を出さなくては、と自分のことで精いっぱい。試合中に失敗したらずっとそのことを考えていました。

 今年は「チームのために」と思ってやる気持ちが強い。吹っ切れたのは交流戦のころかな。「失敗の仕方」を自分でもう一回考え直したんです。迷って追い込まれて凡退するなら、自分のスイングをしたあとで感じる後悔のほうがいいなと。そうするとちょっとずつ積極的になっていきました。それでも打ちとられたら嫌です。いらいらもする。「勝てばいい」と何度も唱えて、あとは外野で叫ぶ。ストレス発散です。

 カープに入って練習の大切さを感じるようになりました。昔はただやらされていただけだったけど、ただすればいいんじゃない。まわりのみんなは何が自分にとって必要か、自分の役割は何かを理解してやっていた。自分も打撃のことを24時間考えるようになりました。移動の時も動画を見たり、打ちとられた球を思い出したりして、打てるようにするためにイメージトレーニングしています。試合直後にベンチ裏で素振りをしてからロッカーに引き揚げるのもその一つです。崩されたフォームを直してから帰ろうと思ってのことです。地味ですけど、大切だと思うから。

 4番としていろんなことを教えてくれた新井さんが引退します。最後は一緒に日本一になりたいです。(構成・藤田絢子)

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 すずき・せいや 1994年8月、東京都生まれ。東京・二松学舎大付高から2012年ドラフト2位で広島入団。16、17年にベストナインとゴールデングラブ賞。昨季は8月に右足首を骨折し、以降のシーズンを棒に振った。