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 「船が浸水している。乗組員は機関室に避難する」

 4日午後1時半ごろ、台風の風で流されたタンカー「宝運丸(ほううんまる)」(全長89メートル、2591トン)の乗組員から、第5管区海上保安本部に連絡が入った。タンカーは、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋に衝突した。

 乗組員11人にけがはなかったが、タンカーのブリッジが連絡橋にめり込み、橋はひしゃげるようにして壊れた。橋には連絡道路や鉄道が通っている。関空と対岸を行き来する「道」は閉ざされた。

 関空では台風の接近に伴い、この日正午から滑走路を閉鎖していた。空からも陸からもアクセスを断たれて孤立した関空を、高潮が襲った。

 滑走路の一部や駐機場などが冠水。午後2時過ぎには、第1ターミナルに隣接するCIQ棟にも海水が迫ってきた。1階にある大阪税関関西空港税関支署にいた広報担当者は「腰窓のところまで水が来たので焦った。電気ケーブルなどを高いところに上げた」。幸い室内は浸水しなかったが、1階の廊下は水浸しになった。

 空港内には、3千人の利用客が取り残され、職員らも2千人いるという状況。コンビニには食料や飲み物などを買いだめする長い行列ができたという。旅行で関空に来ていた男子大学生(19)によると、ベンチは他の客で埋まっているため4日は床で寝るという。「ネットがつながりにくく、アナウンスも少なく、情報がない。安全に帰りたいです」。空港を運営する関西エアポートは取り残された人に乾パンや水、毛布などを配布した。約1万人の3日分の非常食を備蓄しているという。

 偶然にも、4日は1994年に開港した関空の開港記念日。孤立した空港内で客らの支援にあたる日本航空関西空港支店総務グループの森知康さんはこう語った。「前例のない事態だ。飛行機の離着陸がいつから可能になるか、現時点では全くわからない」