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 2015年のショパン国際ピアノコンクール2位になったカナダの俊英シャルル・リシャール・アムランが、佐藤俊太郎指揮の大阪交響楽団と、ショパンのピアノ協奏曲2曲を一晩で演奏する。「2番はコンクールで弾いて以来もう50回近く演奏した。人生を占領している曲ですね」と語る。

 2曲それぞれの魅力を聞くと、「第1番の核心は第1楽章の壮麗さ。第2番は緩やかな第2楽章の切ない響き。『傷心』という言葉が思い浮かぶ」。

 ショパンが19歳から20歳にかけて作曲したが、いずれも当時の片思いの苦しい恋情を曲に込めたと言われている。

 「後期の曲は暗く複雑な感情が絡み合ってくるけれど、このころのショパンは初々しくナイーブ。大人になりきっていない。いずれにせよ根っから内向的な人だったから、抱えた思いはすべてピアノに込めた。だから大きなホールでも、聴く人はショパンが自分ひとりに語りかけてくれるように感じるんです」

 一方で、協奏曲としてはオーケストレーションが貧弱だと批判されもする。

 「ある意味、真実。でも例えばラフマニノフの協奏曲をホールで聴くと、オケの豊かな響きにピアノが埋もれてしまうことがある。その点ショパンは、ピアノのどの音もクリアに聞こえるよう道が空けてある。ピアノはオケに支えられた独裁者として、思うがままに振る舞えるのです」

 韓国のチョ・ソンジンと競ったコンクールで名を挙げ、世界各国を飛び回る日々だ。確かなテクニック、温かみと包容力のある音楽で、聴衆をひきつける。

 「日本の素晴らしさは静寂。ステージの椅子に座った瞬間、音が消える。敬意と気遣いを感じます。聴衆の方からよくテディベアのぬいぐるみをもらうんですが、僕にテディベアのイメージがあるのかな?」

 14日午後7時、大阪市北区のザ・シンフォニーホール(06・6453・2333)。6480円、5400円。(小原篤