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 暴風と高潮をもたらした台風21号は5日、北海道にも接近し、被害は全国に広がった。各警察や自治体によると、大阪、滋賀、愛知、三重の4府県で計11人が死亡。総務省消防庁のまとめでは、大阪や愛知など28都道府県で計467人が負傷し、住宅被害は、大阪や京都をはじめ27都道府県で一部損壊や床下浸水など計1095棟に上った。

 文部科学省の調べでは、大阪や北海道を中心に学校関連の296施設に被害が出た。停電は6日午前0時時点で、近畿の約31万6千戸で続いている。タンカーが連絡橋に衝突し、8千人近くが孤立したとみられる関西空港では、高速船とバスによる利用客らの島外への輸送が進められ、5日夜までに希望者約7800人の移送を終えた。

 今回、大きな被害をもたらした要因の一つは、近畿と四国を中心に発生した記録的な高潮だ。大阪(329センチ)や和歌山・御坊(316センチ)、神戸(233センチ)など6地点で過去最高の潮位を観測した。

 高潮に備え、大阪市内では、大阪府が安治川など3本の川の水門を閉鎖。市は361カ所の防潮扉すべてを閉じた。ただ、港区の天保山渡船場の待合室が水没するなどの被害があり、全8カ所の渡船場で運航を中止した。

 兵庫県内では、神戸市のポートアイランドや芦屋市の南芦屋浜、西宮市の甲子園浜など人工島で浸水被害が相次いだ。加えて、芦屋市では川があふれ、南部の住宅が床上浸水。神戸市の阪神電鉄深江駅周辺で浸水が起きるなど、陸側の市街地でも浸水被害が起きた。

 和歌山市雑賀崎の工業団地では、堤防の一部が壊れて海水が浸入し、団地内にある25社のうち約10社が浸水。建物内には自動車や自動販売機が流れ込み、水は深いところで腰くらいの高さに達した。

 JR西日本によると、阪和線の車両所で電柱が折れた影響で列車が出入りできず、一部区間で運転見合わせが続く。南海電鉄の高野線は飛来物で電線が損傷したり、線路に木が倒れたりしたため、一部で運転を見合わせている。

 文化財も被害を受けた。奈良の世界遺産・法隆寺では国宝の金堂の屋根にある鐘や、国宝の五重塔の一部が落ちた。京都の世界遺産・西本願寺では名勝・滴翠園(てきすいえん)の建物「清浄亭(しょうじょうてい)」が倒木で全壊し、京都・大覚寺では重要文化財の建物「宸殿(しんでん)」が破損。和歌山・高野山では、奥の院の参道付近で多くの木が倒れた。このほか京都の二条城や仁和寺、滋賀の彦根城、奈良の春日大社でも被害が出た。