【動画】京都市では、小学生らが一時孤立し、土砂崩れの被害も=依知川和大撮
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 台風21号の通過から一夜明けた5日、府内でも深刻な被害が明らかになってきた。35人が負傷し、うち2人は骨折の重傷だった。左京区では家屋が倒壊し、住人男性と連絡が取れなくなったが、がれきの中から救出された。470棟超の住宅が被害を受け、重要文化財の損傷も相次いだ。

35人が重軽傷 左京で86歳男性を救出

 「家が崩れた。中に父親がいるかもしれない」

 5日午前8時45分ごろ、左京区上高野東山の父親宅を見に来た長男(53)が、近くの駐在所に通報した。現場は川沿いの切り立った斜面。一人暮らしの父親宅に土砂が流れ込み、倒木で木造2階建ての家が押しつぶされていた。

 連絡が取れない父親は86歳。消防隊員と警察官の計100人ほどの態勢で、土砂やがれきを運び出して捜索した。

 「ここにいます。私です」。午後1時前、がれきで埋まった1階の和室から声が聞こえた。男性は午後2時20分ごろに救出された。身動きが取れなくなってから10時間ほどが経っていた。

 50年以上親交がある近くの知人男性(88)は「かなり時間が経っていたので心配していた。本当によかった」と喜んだ。男性は病院に運ばれたが、目立った外傷はなかった。

 府や京都市によると、府内では20~80代の男女35人が負傷した。うち重傷者は西京区と宇治市の2人だった。西京区では、80代女性が歩行中に転倒し、太ももを骨折した。宇治市では、50代男性が倒木を撤去中、倒れてきた別の木に当たって腰の骨が折れた。

 割れたガラスで腕や頭を切ったり、飛んできた看板やシャッターがぶつかったりする被害も目立った。

住宅損壊・浸水 474棟 風で屋根・小屋吹き飛ぶ

 損壊または浸水した住宅は、474棟(5日午後2時現在)に及んだ。風で屋根が飛ばされたり、玄関の扉が外れたりした。

 伏見区深草大亀谷では4日午後、JR奈良線沿いの民家の小屋が飛ばされ、近くの民家を直撃した。

 被害を受けた住宅に住む沢田ミヨ子さん(84)は就寝中だった。気づくと自宅の屋根や塀の上に、バラバラになった小屋がのっかっていた。家の柱が倒れ、風呂場の戸が開かなくなった。「こんなになってしまい、悔しい」と話した。

 山科区北花山中道町では4日午後2時過ぎ、3階建てマンションから鉄製屋根(縦7メートル、幅20メートル)が吹き飛び、道を挟んだ民家3軒に落下した。被害を受けた家に住む主婦(37)は、消防隊員に促されて避難。「自宅に戻れる見通しも立たない」と不安がる。宇治市菟道でもアパートの屋根が約50メートル飛ばされ、川に落下した。

 久御山町では農業用パイプハウス225棟が壊れ、うち93棟は全壊した。宇治市広野町の府立山城総合運動公園では、テニスコートの屋根の一部が隣のコートに飛んだ。

道路寸断や停電「想定外」 左京 小学生160人が一時孤立

 停電などで教育現場への影響も続いた。京都市立の小・中学校など14校、亀岡市立の小・中学校9校が休校。向日、長岡京、木津川、南丹の各市立小・中学校の一部も休みになった。

 倒木で道路が寸断され、京都市左京区の野外活動施設「花背(はなせ)山の家」で小学5年生約160人が一時孤立した問題。京都市教委は今後、台風時の宿泊が妥当だったか検証する方針だ。

 3日から滞在していた京都市立上里小(西京区)と同市立大宅小(山科区)の児童らは野外での炊事などをして過ごし、道路が復旧した5日夕に当初の日程を繰り上げて施設を出た。

 台風が京都府内を通過した4日は、京都市立のすべての学校が休校になっていた。上里小の渡辺寿男教頭は「建物も頑丈で広く、安全は守られると判断したが、甘いと言われればその通りかもしれない」。大宅小の岸野紀彦教頭は「道路の寸断や停電の長期化など想定外の状況になった。日程を変えて実施することを検討してもよかった」と話した。