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 今回はペットの鳥から感染するオウム病についてお話しします。

 オウム病はオウム病クラミジアという細菌を病原体とする呼吸器疾患です。主として30~60歳の成人に発症することが多く、小児の感染は比較的少ないとされています。その理由は不明ですが、この病原体の感染にはペットの飼育やトリとの接触が関係していますから、子どもは通常、ペットを飼育したりトリと接触したりする機会が大人より少ないからかもしれません。

 感染源となるのは、主にオウム、インコ、カナリア、ハトなどの鳥類で、国内の鳥類におけるクラミジア保有率は約20%であると考えられています。ほかにヒツジやヤギ、ウシなどの哺乳類もクラミジアを保有しています。

 病原体のクラミジアは球形で、直径約300ナノメートル(1ナノメートルは1ミリメートルの100万分の1)の小型粒子が分裂増殖して直径約500~1500ナノメートルの大型粒子となり、それがまた小型粒子に戻るといったように変化を繰り返しています。

 クラミジアは鳥の体内のいたる所にいて、ふんの中に排出されます。鳥が便中にクラミジアを排泄(はいせつ)するのは不定期で、鳥が弱った時、ヒナを育てる期間などでストレスが加わった時、他の感染症を合併した時などです。

 ふんは時間が経つと乾燥して粉々になり空中に浮遊します。この浮遊するふんの中に病原体がいて、これを人間が吸い込むと感染します。クラミジアは排泄されたふんの中では2~3日生存し、この期間は感染性が持続しているものと考えられます。このほか、飼育している鳥に口移しでエサを与えたり、かまれたりすると感染することがまれにあります。

 オウム病は1~2週間の潜伏期間を経て発症します。症状として、38度以上の発熱とせきはほぼ必発で、頭痛も約半数に認められます。時に血痰(けったん)や胸痛を伴うこともあります。重症例としては肺炎、髄膜炎、呼吸困難や意識障害、心筋梗塞(こうそく)などを引き起こすこともあります。

 オウム病の診断には、特に鳥との接触の有無が重要となります。ペットショップに立ち寄ったか、公園でハトに直接触れたり、排泄物や分泌物、羽毛などに触れたりしていないか、といったことが診断をするうえでとても参考になります。

 検査は、発症後早期と発症後14~21日の回復期に血液を採取し、その血液に含まれている病原体に対する抗体価を比較して、ある一定の上昇が認められた場合に、その病原体による感染があったと推定する方法で行います。ただし、検査結果はすぐには出ませんので、明らかに鳥との接触歴がある場合は、オウム病による可能性も十分に考えながら治療を行います。

 発症後、適切な治療を行った場合は2週間ほどで回復します。治療はオウム病に有効な抗生剤を投与します。症状は軽微なものから重度のものまで幅広く、一概にいえませんが、全身状態が不良▽呼吸が苦しそう▽血圧低下や低酸素血症がある▽意識障害がある▽嘔吐(おうと)を繰り返す、といった症状があれば、入院治療を考慮します。

 鳥との接触歴をもつ人や鳥の飼育者にせきや発熱が出現した場合は、オウム病も疑われますので、そのことを受診先の医師に伝えることが最も重要なポイントです。飼育鳥が死んでいる場合は特にオウム病の疑いが濃くなるので必ず伝えてください。鳥も発症して死ぬ場合があるからです。

 予防としては、鳥を飼育している場合はオウム病の知識をきちんと身につけておくことです。日常的に鳥を触ったら手を洗う、排泄物に素手で触らない、鳥と接触する際やケージを洗ったりする際はマスクを着用する、などを意識することが必要です。

<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/

(弘前大学大学院医学研究科小児科学講座助教 大谷勝記)