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 茨城県言語聴覚士会は、食べ物をのみ込む「嚥下(えんげ)力」が落ちた人向けの外食メニューを、レストランチェーン「すぎのや」(坂東市)と共同開発し、今月から提供を始めた。嚥下リハビリ専門家が監修したメニューを外食チェーンが常時提供するのは全国でも珍しいという。

 メニューは、「刺身和食定食」(税別1250円)と「和風ハンバーグ定食」(同1350円)。両方とも主品のほか、天ぷら、温野菜、みそ汁かうどんなどからなるご膳料理だ。

 見た目は通常の料理と変わらないが、魚介類は筋を切るなどして、のみ込みやすいように工夫。温野菜は食べにくいゴボウやタケノコ、こんにゃくを除き、ほかの季節の野菜で代用した。ご飯はおかゆに換えることもできる。

 刺し身をメインの一つにしたのは、衛生管理面から高齢者施設や宅配弁当で提供することが難しいからだ。同社の倉持俊男・事業部長は「食べやすいだけでなく、彩りなど見た目も楽しめるようにした」と話す。

 食べ物がのみ込みにくくなる摂食嚥下障害は加齢とともに増える。疾患も関係しており、脳卒中では患者の5~10%に残るとされる。障害が進むと流動食になるが、外出先で提供する店などは限られるため、高齢者が家に閉じこもりがちになる一因になっている。

 言語聴覚士(ST)は、ことばによるコミュニケーションやのみ込みに問題がある人のリハビリを業務とする。県言語聴覚士会はその一環として、「嚥下障害があっても外食を楽しめるようにしよう」と今春から独自に外食メニュー開発について検討していた。

 日本言語聴覚士協会によると、STがチェーンレストランと共同で嚥下食のメニューをつくるのは初めて。県言語聴覚士会の草野義尊会長は「食べられればいいという時代から、食べたいものを食べられる時代にしていかないといけない。メニューが定着すればさらに増やしていきたい」と話す。

 両メニューは前日までの予約が必要。当面の提供は、すぎのやが展開する「すぎのや本陣」の水戸内原、水戸県庁前、日立久慈浜、ひたち海浜公園前、笠間の5店舗で行う。問い合わせは、すぎのや(0297・36・0556)へ。(重政紀元)