拡大する写真・図版 関西の主要3空港

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 台風21号で冠水した関西空港について、政府と運営会社「関西エアポート」は6日、国内線の運航を7日から一部再開すると発表した。ただ、国際線を含む全面再開は見通せていない。訪日外国人の減少を懸念する安倍政権と地元自治体は、規制緩和などの本格議論を棚上げした格好で、大阪(伊丹)、神戸両空港が国際便を一部引き受ける「異例の対応」に向けて調整に入った。

 再開するのは、出発便がピーチ・アビエーションの午前11時50分発新潟行きなど6便と日本航空の羽田行き1便の計7便。到着便はピーチ11便と日本航空1便で計12便。

 7日に再開する方針は、安倍晋三首相が最初に発表した。6日朝、首相官邸の会議で「国内線を明日中に再開し、国際線についても準備が整い次第、再開する」と説明。直後の同日午前、関西エアの山谷(やまや)佳之社長も空港内で会見し、再開を発表した。

 兆候は前日からあった。首相は5日、和泉洋人首相補佐官をトップとする対策チームを設置し、再開を急ぐよう指示。関空の地元・大阪府の松井一郎知事が上京し、和泉氏と面会する日程がセットされた。

 そもそも政府にとって関空は、国際的にも経済的にも重視する拠点だ。3年連続で利用者数が過去最多を更新し、政権が成長戦略の柱に据える訪日外国人観光客増への貢献は大きい。大阪では来年6月、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。2025年開催の万博誘致にも名乗りを上げており、その投票が11月に控える。再開に1週間近くかかるとの見方が出る中、「国際的な信用をなくす」(官邸幹部)と危機感が広がっていた。

 関空を利用する航空会社の関係者は「関西エアは『早期再開はなかなか(難しい)』という姿勢だったが、官邸の一声で変わった」と漏らした。

 もうひとつ、この日アピールされたのが、関西の主要空港による国際線の分担だ。

 松井氏は和泉氏に、関空の一部の便を伊丹、神戸両空港で受け入れる案を示し、協力を要請。和泉氏は「国としては協力する」と応じた。面会後、松井氏は記者団に関空の全面復旧が「年内(いっぱい)はかかる」との見通しを示す一方、伊丹と神戸の営業時間を朝夕1時間ずつ延長して国際線の発着を増やす方向で関係自治体などと調整すると表明した。

 定期便が就航していない伊丹、神戸に国際線を拡大する案は以前からあった。ただ両空港の総発着枠は国や関係自治体などが参加する「関西3空港懇談会」で取り決められており、枠拡大や必要な規制緩和については、今秋にも議論が始まる見通しだった。

 そんな中、国の協力を追い風に「今回は特別措置」(松井氏)として進み始めた国際線の3空港分担――。関西広域連合長の井戸敏三・兵庫県知事も6日、「国に対し、神戸と伊丹で代行できるような措置を緊急的に対応するよう要請する」と表明。関西エアも具体的な対応策の検討を開始し、広報担当者は国際線の就航に必要なCIQ(税関・出入国管理・検疫)手続きについてこう語った。「伊丹、神戸を管轄する税関や入国管理局の職員らが空港にCIQ機材を持ち込む」

国内消費、1日あたり24億円減?

 関西空港の国際線が飛べないと、国内で使われるお金が1日あたり24億円減る――。SMBC日興証券は6日、こんな試算を発表した。訪日客が1日ごとに2万人ずつ減ると予想した。

 関空から入国するはずだった人のうち、2割は別の空港などから入国するが、8割は旅行を取りやめると想定した。関空からの入国者は現在、訪日客の約4分の1を占めている。

 関西には、買い物目当ての外国人が多く訪れており、百貨店の免税売り上げも東京などと比べ伸びが大きい。試算では、大阪(伊丹)、神戸空港に国際線を振り向けることは想定していない。(中村光)