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 生涯のうちに2人に1人がなるがん。患者やその家族の悩みを聴き、心の痛みに寄り添う「がん哲学外来」を続ける病理医で順天堂大教授の樋野興夫(ひのおきお)さん(64)が、日本対がん協会の朝日がん大賞に選ばれた。賛同者は増え、活動は全国に広がる。その一つ、名古屋の高校生の団体は協会賞を受ける。

 「今日はどこから来たの?」

 東京都内の教会で8月中旬にあった「がん哲学外来」。

 コーヒーにミルクを入れながら樋野さんが尋ねると、患者は話し始めた。がんとわかったときのショック、自身の気持ちの落ち込み……。

 白衣は着ない、カルテもない。病気に関する悩みを聞く「外来」。2008年に始め、大学病院や喫茶店など様々な場所で開き、約3千人の患者や家族らと対話してきた。薬を処方する代わりに出すのは、「言葉の処方箋(しょほうせん)」。「八方ふさがりでも天は開いている」「やるだけのことはやって、あとは心の中でそっと心配する。ほっとけ症候群」。目の前の人が自身の人生と向き合えるよう、言葉をかける。語録は、学生時代から愛読する政治学者や経済学者らの著作から引用もする。

 中皮腫のマーカー開発に取り組み、アスベスト(石綿)が原因の中皮腫患者を専門に診る外来を担当していた05年。治らないと悩む人の思いを受け止め、主治医と患者の隙間を埋める役割が必要なのではないかと気づいた。

 08年、順天堂医院で5日間限定で哲学外来を開くと、予約でいっぱいになり、病院外にも出向くようになった。

 島根県の無医村で生まれた。幼…

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