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 震度7を記録した地震で北海道では、ほぼ全域が一時停電した。長引く停電で都市機能はマヒし、市民生活に支障を来している。

 「ピイーッ!」「どうぞ渡ってください」

 6日午前8時半、札幌市の中心部を貫く大通公園近くの交差点では、早朝から交通整理する警察官の笛や声が響き渡った。車はゆっくりと交差点に進入、人々は左右を確認しながら慎重に渡っていた。

 市内のほとんどの交差点の信号機は消えたままで、警察官の姿も見えない。車は譲り合いながら走るため、渋滞が発生。車同士が出合い頭に衝突しそうになると、クラクションを鳴らしあった。

 鉄道や地下鉄、路線バスは終日運休した。1日平均60万人以上が利用する札幌市営地下鉄。都心から10分ほどの閑静な住宅街に位置する円山公園駅の入り口では、人々が訪れては「閉鎖中」の貼り紙を見て帰っていった。

 午前9時過ぎに来た市内の無職男性(80)は「これまでは地震で停電しても、すぐに復旧していた。こんなに長い停電は初めてだ」と話す。

 札幌市交通局によると、市営地下鉄と路面電車は7日以降の復旧の見通しは立っていない。JR北海道も6日、北海道新幹線を含む全14路線で運転を見合わせた。

 全路線で運休したじょうてつバスや北海道中央バスなど路線バスは、7日に信号機が復旧し、安全に運行できると確認され次第、運行を再開する。

 金融機関の現金自動出入機(ATM)もストップ。北海道に旅行で訪れた奈良県の大学生、山本太志さん(21)は関西へ帰るフェリー代を振り込むため、作動しているATMを探し回ったという。ツイッター情報で動いているATMを見つけた。「ようやく帰れそうでホッとしています」と話していた。

 北洋銀行(本店・札幌市)は6日、札幌市など都市部の47支店に限定して営業。7日は電力の復旧に合わせさらに増やす予定。約140ある店舗のうち100カ所以上で休業した北海道銀行(同)も電力の復旧に応じて営業店舗は増やしていく見通しという。

 テレビが見られず、数少ない情報源や通信手段となったのが、スマートフォンや携帯電話。電源を求める市民の姿もあり、札幌市役所は本庁舎で充電サービスを始めたが、午後1時半までに「受付を終了」の看板が出た。

 充電を求める人々の列は庁舎外まで延びていたが、「今から並んでも4時間かかり閉庁になる」という理由だ。「もう終わりってどういうこと」と警備員に詰め寄る女性もいた。

 札幌市東区の携帯電話販売店では、正午ごろから店内に簡易発電機を設置し、携帯電話用の充電器を市民に開放した。従業員5人が出社し、入り口に「無料充電対応中」という貼り紙を出し、20台の携帯電話を充電した。1人30分限定で、10人以上が列をつくった。利用者からは「本当に助かる」という喜びの声が聞かれた。この店は午後2時半ごろに電気が復旧。店内の大型スクリーンやテレビの電源が突然入り、携帯電話端末の充電を待っている人や従業員ら店内にいた約20人から拍手が起き、歓声が上がった。

 午前11時ごろ、札幌市中央区の14階建てマンションに住む女性(76)は食料や水が入ったスーパーの袋を両手に、マンション入り口で空を見上げた。部屋は13階。「足があまりよくないので、エレベーターが止まって下りるのに苦労した。高層の部屋に住むのも考えものです」と話した。

 病院にも影響が出た。市内の病院に入院していた0歳の女児が酸素呼吸器が停電で使えなくなり、重症という。女児は別の病院に転院し、手当てを受けている。停電のため、救急の受け入れができる病院も限られている。