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 7年半前の3月11日、宮城県石巻市で部屋ごと津波に流され、9日後にがれきの中から祖母と一緒に助け出された男子高校生がいた。阿部任(じん)さん(23)はそれからずっと、あの出来事とは距離を置いてきたが、故郷での就職を機に、今年春から体験を語り始めた。

 「ここで救助を待つ間、意外とポジティブでいられたんです」。今月5日、石巻市門脇町。被災地のスタディーツアーに来た東京の大学生たちを前に、阿部さんは淡々と話す。

 激しい揺れの後、80歳の祖母と2階のリビングダイニングにいた。そこを津波が襲い、家は流されながらもその部屋だけが持ちこたえた。たくさんの家屋の残骸が積み重なった中に閉じ込められた。

 冷蔵庫にあったヨーグルトやビスケットを口にし、運良く圧縮袋に入っていてぬれていない布団もあった。脱出は無理とわかると、もうすることがなかった。夜は凍えて眠るどころではない。天井の裂け目から星空を見て過ごした。日を追って月が満ちていった。

 一番役に立ったのは、たまたま…

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