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 台風21号により、京都市の山間部を中心に、府内で約6100戸(7日午後7時時点)の停電が続いた。関西電力によると、台風での停電としては過去最大の規模。倒木が道をふさぎ、復旧作業は難航している。確認された府内の負傷者は54人に増えた。

高齢者ら助け合い

 停電は左京区(約2310戸)、右京区(約1890戸)、北区(約1420戸)が突出して多い。

 右京区の山間部にある京北地区は、約360世帯で停電が続く。市職員が一人暮らしの高齢者宅を回り、水と食料を配りながら相談に乗っている。

 この地区には京都銀行の車が出動。窓口とATMを備えている「移動店舗車」で、災害現場で初めて活用したという。銀行業務のほか、電気の供給もできるため、携帯電話を充電しようと住民が列をつくった。

 京北弓槻町の農家の川上昌秀(まさひで)さん(73)は、家にあった発電機を使い、冷蔵庫や洗濯機を動かしている。「洗濯機はお隣さんにも使ってもらっている。困ったときはお互い様なので」

 川上さんの妻の幸子(さちこ)さん(69)は7日夕、ガス釜で炊いたご飯を隣家に差し入れた。受け取った女性(86)は「温かいご飯はありがたい」と喜んだ。(高橋豪)

叡山電鉄、運休続く

 叡山電鉄鞍馬線の市原―鞍馬間(約3・5キロ)は、線路に多数の倒木があり、運休が続いている。

 左京区鞍馬本町の鞍馬駅周辺は閑散。鞍馬寺の拝殿の一つが倒壊し、参道は60本ほどの倒木で通れなくなった。本殿に向かうケーブルカーが運休し、当面の拝観を中止している。この地区は停電が続き、固定電話も携帯電話も不通だ。

 森崎一さん(71)、晴代さん(69)夫妻は夜間、電池式のランプとろうそくの明かりで過ごす。氷を買ってきて冷蔵庫に入れ、食品を冷やしているが、それでも悪くなってきた。晴代さんは「氷だけでは追いつかないので、復旧してほしい。寒さの厳しい冬ならもっと大変なことになっていた」と話した。

 鞍馬寺の前で土産店を営む高齢男性は、近くのオール電化の家で暮らす。カセットコンロでお湯を沸かし、ご飯を炊いてしのいでいる。「とにかく電気待ち。家にいても何もできない」と疲れをにじませた。

 くらま温泉に勤める中谷隆夫さん(49)は「10日から営業を再開したいが、できるかは電気の復旧や食品の調達次第」と戸惑う。(足立菜摘)

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 文化財の被害は115社寺に広がった。国宝9件、重要文化財74件を含む222件が損傷した。

 国宝では、知恩院(東山区)の三門の扉の損傷が判明した。妙心寺(右京区)では、重要文化財の法堂の扉が損壊。萬福寺(宇治市)でも、重要文化財の大雄宝殿の瓦の一部や建具が壊れた。清水寺(東山区)では、いずれも重要文化財の鐘楼と三重塔の瓦が損傷した。

 高山寺(右京区)では、百数十本の木が倒れていたことが判明。倒木により、開山堂と金堂の屋根が壊れる被害が出た。(小林正典)