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 コンピューターへの不正アクセスなど、サイバー攻撃に立ち向かう「ホワイトハッカー」となる人材を発掘し、企業に橋渡しをしようと「日本ハッカー協会」が13日、設立された。素質がありながら、社会に出る自信がない人たちの就業支援などを通じて、ハッカーが活躍できる社会を目指すという。

 ハッカーの人材紹介を目的とした一般社団法人の設立は初めてとみられる。賛同企業の会費と人材紹介の手数料で運営する予定。13日に都内で開かれた設立記念パーティーにはコンピューターセキュリティーの専門家ら約70人が集まった。

 代表理事に就任する杉浦隆幸さんはかつて、海賊版動画の流通や企業の内部情報流出で社会問題となったファイル共有ソフト「ウィニー」の仕組みを解読し、監視ソフトを作るなど、日本を代表するホワイトハッカーとして知られる。同時にセキュリティー会社の経営を通じ、「危ういイメージ」がつきまとうハッカーの採用をためらう企業をいくつも見てきた。

 杉浦さんの会社は以前、専門知識と技量が試される問題をネット上で公開し、解いた人を採用する試みをしたことがある。そこで見えたのは「とびきり優秀だが、コミュニケーションが苦手で、社会になじめない人がいる」こと。若い人がネットの「闇」に陥ってサイバー犯罪に関与した結果、警察に摘発されて社会復帰が困難になるケースもある。

 協会の狙いは、こうした「とがった人材」の発掘。仕事を求めるハッカーが技術力や実績を登録し、協会のスタッフと面談やメールのやりとりをして紹介先を決めていく方針。コンピューターにとどまらず、家電製品や自動車などがネットにつながる時代を迎え、セキュリティー業界は慢性的な人手不足だ。専門性が細分化されているため、1人でカバーできる領域も減っており、杉浦さんは「ハッカーが活躍する場がますます増える」とみる。

 当面はホワイトハッカーを目指す人の就業支援をメインに、人材をPRするためのブログも立ち上げる。ゆくゆくは個人で活動するハッカーを支援するため、法的トラブルに巻き込まれた際の弁護士紹介などの業務も目指すという。(編集委員・須藤龍也)