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 今年の発表が見送られたノーベル文学賞に代わり、スウェーデンの文化人らが今年限りの「ニュー・アカデミー文学賞」を立ち上げた。ボランティアが運営し、読者が投票する、あくまで手作りの賞だ。伝統と資金力をもち、高名な学者らが秘密厳守で選考する「本家」とはあまりにも対照的。そもそもどんな経緯で創設され、現地ではどう受け止められているのか。

 「目標達成に向けて努力しているけど、本当に集まるかどうかは分からない。私たちはボランティアで、銀行員ではないから」

 9月初め、スウェーデン在住のジャーナリスト、アレクサンドラ・パスカリードゥさん(47)は焦っていた。ニュー・アカデミー文学賞の発起人となった人物だ。賞金の額をノーベル賞の約10分の1の100万スウェーデンクローナ(約1200万円)に設定、寄付を募ったものの、集まるめどが立っていなかった。

 テレビ司会者としても知られるパスカリードゥさんは、貧困地区の母親たちを取材した新刊のPRや、女性活動家としての講演活動で国内外を飛び回る。さらに子育てと並行しての孤軍奮闘。「来年以降も続けてほしいと言われるけど、大変すぎる」と笑う。

 ノーベル文学賞の選考機関「スウェーデン・アカデミー」が今年の同賞の発表見送りを決めたのは、5月のこと。性被害に声を上げる「#MeToo」運動の流れで、アカデミーと関係の深い文化界の重鎮による性的暴行疑惑が浮上したにもかかわらず、この男性の妻や親しい人物がアカデミーで力を持っていたため、疑惑の調査や組織改革に積極的だった前事務局長らが辞任に追い込まれた。

 世論は猛反発。アカデミーの信頼は失墜し、賞の発表どころではなくなった。そうした一連の不祥事に憤り、新たな賞の創設に向けて走り出したのがパスカリードゥさんだった。ギリシャ系移民の2世。ストックホルム郊外の貧しい地区の出身だ。この地区では毎年、ノーベル文学賞受賞者が子どもと交流する機会があった。今年で30回目になるはずだった。

 「本のない家で育った自分でも…

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