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 観光客に人気の北海道旭川市の旭山動物園は、停電解消から3時間半後の、7日朝から営業を再開した。「旅先でつらい時に、少しでも心に残るものになれば」。職員たちの強い思いがあった。

 地震当日の6日は、停電で休園した。動物たちへの影響はなかった。職員は、停電の長期化に備え、冷凍した餌の保管対応に走った。給水は旭川では問題なかったものの、万が一のため、地下タンクに約200トンためた。

 動物園は、電気復旧後、2時間で開園できる態勢を整えていた。6日中の復旧はなかったが、7日は職員も早めに出勤。午前6時ごろに電気が来ると、ポンプなどの施設を職員が点検、午前9時半の定時には開園にこぎつけた。

 7日は、JRは不通。動きのとれない観光客が市内に滞在していた。動物園は、JR旭川駅からバスで約30分かかるが、路線バスも走っていない。

 それでも開園を聞いた観光客が、宿泊先のホテルからタクシーを乗り合って訪れた。海外からの団体客も来園した。このシーズンの平日は、1日5千~6千人の入場者だが、この日は2千人超だった。

 坂東元・園長は「地震や停電でつらい思いをした旅行者の皆さんにとって、少しでも心に残るものになればと、開園した。地元の方にとっても、動物園を訪れ、気持ちが少しでも落ち着いてもらえれば。動物はイライラしていないですよ」と話す。「閉めるのは簡単。でも旅行者にとっては、この動物園に来ることができるのは、今日しかない人もいるのですから」

 一方で、入園者向けの空調は止め、照明も暗めにするなど、省エネ対策もとった。

 市内全域の停電が解消した8日も、いつもより少ないとはいえ、来園者は相次いだ。香港から北海道観光に来ていた李子成さん(37)は「札幌に移動する予定だったが、JRは動かず、動物園がやっていると聞いて、訪れた。ここは、とても落ち着いていて、いいですね」と喜んでいた。旭川市の隣にある鷹栖町から子連れで来た女性(40)も「ボウリング場に行こうと思ったら休業だったので、来ました。子どもの気晴らしになって、本当によかった」と話していた。(本田大次郎)