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 北朝鮮は9日午前10時から平壌の金日成(キムイルソン)広場で、建国70周年を記念した軍事パレードを行った。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は出席したが、演説しなかった。朝鮮中央テレビは生中継せず、大陸間弾道ミサイル(ICBM)も登場しなかった。米国と対話を続けることを意識した演出になった。

 軍事パレードは、今年2月の北朝鮮軍創建70周年を記念して行って以来で、金正恩体制下では7回目。2月には、米本土に到達可能なICBM「火星(ファソン)15」(射程1万3千キロ以上)などが登場し、正恩氏も「世界的軍事強国の威容を誇示した」と演説していた。

 今回は軍事色が薄れ、市民を前面に打ち出す内容となった。北朝鮮当局者によると、軍事パレードは時間も短縮し、市民による行進を増やしたという。

 午前9時40分。「70周年 祝賀」などと書かれたスローガンが掲げられた金日成広場に、朝鮮人民軍の兵士が入場した。足を高く上げる独特の行進で、かけ声をかけながら行進した。

 会場が静まってしばらくすると、大音量の音楽が流れ、ひな壇に正恩氏が、中国の栗戦書(リーチャンシュー)・全国人民代表大会常務委員長らとともに登場。歓声が上がった。

 軍事パレードが始まると、正恩氏は敬礼をしながら見ていた。かがみ込んで隣の栗氏と談笑する場面もあった。時折、舞台裏から、実妹の金与正(キムヨジョン)氏が紙を渡し、見入っていたのが確認できた。

 約1時間半のパレードが終わると、正恩氏は栗氏と観客側に姿を見せた。栗氏の手を取ると一緒に上げて、両国の友好をアピールした。

 軍事パレードでは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などは登場しなかった。北朝鮮当局者は「兵器の数と種類は普段よりも少なく、迎撃ミサイルを中心に披露した」と説明する。

 北朝鮮当局者によると、過去最大規模となる約千人の国外からの来賓を含む約1万2千人が参観したという。平壌市の工場支配人、金明丸さん(56)は「今回は我が国にとって重要な年なので、盛大に祝いたい」と語った。

 8日夜には、平壌市内で記念演奏会も開かれた。ここでも、核・ミサイルの開発や成果を強調する映像は流されなかった。

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 今回の建国70周年の関連行事にあたり、朝日新聞社は米CNNや中国中央テレビ、一部の日本メディアなどとともに、当局から取材許可を得て記者を派遣しています。(平壌=峯村健司、ソウル=牧野愛博)