[PR]

 千葉県館山市で10年前に市立中学2年の田副勝(たぞえしょう)さん(当時13)が自宅で首をつって亡くなったことについて、いじめの有無などを調べていた市の第三者調査委員会は10日、金丸謙一市長に報告書を提出した。所属していた野球部などでいじめに遭っていたと認定したが、自殺との因果関係は解明できなかったとした。

 勝さんは2008年9月10日に自殺した。弁護士や教育の専門家らでつくる第三者委は16年の発足後、当時の在校生らにアンケートや聞き取りを実施。野球部の練習試合の帰りのバスで他の部員に制汗スプレーを吹きつけられ「臭いぞ」と言われたことなどをいじめと認定した上で、自殺の原因について「すべてが学校生活や部活動での問題にあったと断定する証拠はなく、全容解明に至らなかった」とした。

 学校は自殺の直後に全校生徒を対象に調査を行い、「いじめにつながる事実はあったが、死と直接結びつく原因はわからない」としたが、5年間の保存が必要な調査用紙を廃棄していたことが後に判明。市教育委員会の再調査では「臭い、うざい、死ね」と言われていたとの回答を公表していなかったことも明らかになり、遺族が第三者委による調査を市に求めていた。

 第三者委の報告について、委員長の大野精一・星槎大学大学院教授(心理学)は記者会見で「もっと調査が早ければ関係者の記憶も鮮明で、関連資料も残っていた」と指摘。勝さんの父義春さんも会見で「100%満足とは言えないが、調査委は限られた権限の中でよく調べてくれた。市長には子どもの目線を大切にするよう学校や市教委の意識改革をやってほしい」と話した。(川上眞)